ヒスタミン食中毒を防ぐには、ヒスチジンをヒスタミンに変化させる細菌を発生させない工夫が必要だ。一番の対策は、魚を常温以上の温度で長時間保存しないこと。だが、温度については注意点がある。それは、実験で0℃~10℃の温度で保存しても、少量だがヒスタミンが生成されてしまうことが確認されている。冷凍すれば完全に防止できるが、それ以前にヒスタミンができてしまっていれば、それが減ることはない。いちばんよい対策は、入手したら、すぐに冷蔵保存か冷凍保存し、できるだけ早く食べるというのが一般的だ。
ヒスチジンを多く含むのは、上から順に本マグロ、カツオ、カジキ、天然ブリ、サンマ、サバと続く。これらの魚は、たとえ調理済みであってもヒスタミンが生成されるリスクがある。このことは、ぜひ覚えておきたい。先に紹介したカツオのシーチキン缶でも、ヒスタミンが発生している。サバ缶やサンマ缶なども同様である。また、意外にも、干物類でもリスクがあるので注意しよう。
もし魚を食べて、舌がピリピリしたら、ヒスタミンが発生している可能性が高い。こうなってしまったら、もはや破棄するしか術がないことも覚えておこう。ヒスタミンは、加熱しても壊れないからだ。また、厄介なのは、ヒスタミンが増殖した魚は外見も臭いも特に変わらないという点。口にして違和感に気付いたらすぐに食べるのをやめて、速やかに破棄しよう。
夏は特に温度が上がりやすく、中毒のリスクが高まる季節。ぜひ今一度、魚の管理には注意したい。
(文=編集部)