夏休みは体を動かすことも肥満防止に matuuuuuuun/PIXTA(ピクスタ)
行楽地に子どもたちの賑やかな声があふれる、夏本番。開放感いっぱいの夏休みは楽しいものだが、生活習慣が乱れやすく、子どもの体調管理に頭を悩ませる親も多いことだろう。
一昔前は、夏休みの体調不良といえば「夏痩せ」のイメージがあった。しかし、子どもの食生活や住環境が変化し、活動量が減った現代はむしろ、「夏太り」に警戒しなければいけないらしい。
今年7月、アメリカの学校保健専門誌『ジャーナル・オブ・スクールヘルス』において、コロンビア大学の研究グループが報告を行っている。それによると、夏休みなどの長期休暇中は、子どもの生活習慣に肥満につながりやすい行動が増える。そして、その現象は、どんな経済状態の家庭でも同じように起きているという。
夏休みは野菜が減って砂糖が増える
もともとアメリカの低所得層の家庭では、夏休み中に子どもが勉強を続けることが困難になるため、経済状態による成績の差は夏休みに広がる傾向があるとされてきた。そこで研究グループは、夏休みなどの長期休暇中に、子どもの肥満につながるリスク要因の差も、経済状態によって広がっているかを調べることにした。
使用したのはアメリカの全国健康栄養調査6年分(2003~2008年)。日本でいうところの、小学校1年生~高校3年生に当たる6769人のデータだ。食習慣は1日当たりの総摂取エネルギー、野菜のカップ数、糖分のティースプーン数を分析。それ以外の生活習慣ではテレビの視聴時間、中程度~強度の運動、カロリー消費について検討した。そしてそれらを、通常の時期と休暇中について比較。さらに、経済状態の違いでも比較を行った。
その結果、夏休みは、子どもの野菜の摂取量が通常の時期より1日あたり0.2カップ減り、糖分は1日当たり2.1ティースプーン増えた。また、テレビの視聴時間も1日あたり18分長くなった。一方、中程度~強度の運動量は1日あたり4.6分増えていた。
もともとこうした肥満につながる行動は、高所得層の家庭の子どもより低所得層の子どもの方に多く見られる。だが、今回の研究では、夏休み期間に所得による差が広がることはなかった。つまり、夏休みの生活習慣が"太りやすいもの"にシフトしやすいのは、どの家庭でもいえるということだ。