流行りの「ジャーサラダ」に注意! 「携帯」「日持ち」に過信は禁物?

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オシャレなジャーサラダには危険がいっぱい?

 透明なビンに色鮮やかな野菜を詰めた「ジャーサラダ」が大人気だ。ヘルシーなランチを志向するニューヨークのオフィスワーカーが持参し、数年前からブームになっている。日本でもカフェメニューやデパ地下、店頭でのテイクアウトと、いずれも流行の兆しを見せる。

 ジャーサラダを美しく、おいしく作るための専門レシピ本も複数出版されている。サラダを入れるビン(ジャー)は決まっていないが、気密性のあるダブルキャップ(二重構造のねじ蓋)が特徴の「メイソンジャー」は、人気で品薄になるほどだ。

 ジャーサラダは、工夫次第で栄養面の優れたものが作れる。具材に決まりごとがないため、野菜だけでなく豆類や穀類、チキンやエビ、ツナなど、栄養バランスのよい食事を摂ることが可能だ。密閉して冷蔵庫で保存すれば、数日の作り置きが可能だとうたわれている。

 「層になったカラフルな野菜」「密閉ビンで汁モレせずに持ち運び」「気分がアガる」「冷蔵庫なら3~5日保管して大丈夫」「突然の来客にさっとオシャレな一品」......特にファッション感度の高い女性に好評だ。

 しかし、いいことづくめではない。これからの季節に懸念される点がある。それは、腐敗と食中毒の危険性だ。

ビン内で細菌が大繁殖する危険性も!

 「簡単に作れる」がうたい文句のジャーサラダ。確かに作り方はシンプルだ。まずドレッシングをビンの底に入れ、味の染み込みづらい豆などから順に、好みの食材を詰めていく。レタスなどの葉物は一番上だ。

 見た目にカラフルな層を意識して、ギュウギュウに詰め込んだら蓋をして冷蔵庫に保存する。たまに逆さまにしてドレッシングを馴じませ、食べる時に皿に盛るだけ。

 だが、具材の多くは生野菜だ。ピクルスのように一度茹でて塩と砂糖・酢の液体に漬けているわけではない。どんなに隙間なく詰めても空気に触れている。
 
 ビンの衛生面も気がかりだ。「煮沸消毒」すべきだが、熱湯でゆすげばいいというものではない。鍋の底にふきんを敷き、割れないように常温からビンを入れ、沸騰させて約1分待つ。

 煮沸消毒には「100度で30秒、90度以上で5分、75度以上で15分以上」という定義がある。そして、ビンを完全に乾燥させなければいけない。煮沸消毒に対応するガラスビンを用いて消毒し、菌の付いた手やふきんで触れることなく乾燥させる。随分と神経を使う作業だ。

 さらには「持ち運び」の問題がある。冷蔵庫に保管していたとはいえ、作ってから数日経ったジャーサラダを持参して、ランチタイムまで長ければ4時間以上。自然界に広く存在する食中毒菌は、ごく容易に食品に付着し、生育に適した栄養・水分・温度で増えていく。

 食中毒菌は倍々で分裂し、爆発的に増殖する。食中毒の主な原因となる腸炎ビブリオは、8分で倍になる。カット野菜に付着しがちな大腸菌は17分、鶏肉や鶏卵を主に介するサルモネラ菌は21分、人の皮膚表面に付着しやすい黄色ブドウ球菌は27分で倍増する。

 腸炎ビブリオなら、1個の細菌が3時間後には420万、5時間後には689億1947個に増殖する計算だ。最初に1000個の菌がついていれば、わずか1時間半で食中毒を起こす数になる。

 具材に、中途半端に加熱されたエビやチキンを加えたり、安易に生の魚介類を選択すると危険性はこの上ない。

 ここで注意したいのは、食中毒と腐敗は別ものという点だ。匂いをかいで異常なし、食べたら野菜もシャキシャキでおいしかった......。だが、ビンの中には億の数の菌だった、ということも不思議ではない。
 
 もちろん、ジャーサラダに限らず全ての食材・料理は、食中毒の危険性がゼロではない。ヘルシーでファッション性が高くても、食の安全にもこだわりが必要だ。
(文=編集部)

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