日本は周知のように世界でもっともCT装置が大量に稼動している国だ。経済開発協力機構(OECD)が発表したルスデータによると、CTの人口100万の当たりの設置台数はOECD平均が23.8だったのに対し日本は97.3と実に4倍にも達している(OECD ヘルスデータ2010)。加えて極めて大雑把に言えば、全世界で2万台以上のCT装置が稼働中で、その半数以上がわが国に集中しているのだ。
こうした状況に早くから世界も注目し、2004年にLancetに掲載された論文(Risk of cancer from diagnostic X-rays:estimates for the UK and other countries)が日本の医療界に衝撃を与えた。
この論文では、日本における被曝量はOECD加盟国中突出しており、他国の中央値の2倍以上となっているとしている。これだけの被曝量では日本でのがんの発生率は欧米の約3倍になると算定された。
今回発表された研究では、DNA損傷や細胞死が増加していることが細胞レベルで分かった。果たして日本における医療用画像診断の過剰使用に歯止めはかかるのだろうか?
(文=編集部)