CTスキャンで細胞損傷、発がんの可能性 世界一のCT大国日本は大丈夫?

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安易なCT検査は控えるべきか?shutterstock.com

 CTスキャンを受けると細胞傷害が生じることが、新たな研究で判明、「Journal of the American College of Cardiology: Cardiovascular Imaging」オンライン版に7月22日掲載された。ただし、それががんなどの健康問題の原因となるのかどうかは明らかにされていないという。

 米スタンフォード大学心血管研究所のJoseph Wu氏によると、心疾患への医用画像の利用はこの10年で急増しているという。このような検査による低線量被曝の影響はわかっていないが、現在の技術ではごくわずかな細胞レベルの変化を調べることができる。

 今回の研究では、67人の被験者を対象に、心臓CTスキャンの前後に採取した血液を調べた結果、スキャン後は細胞内のDNA損傷や細胞死が増加することがわかった。また、細胞の修復や死滅に関与する遺伝子の発現も増大した。CTスキャンにより損傷した細胞の大部分は修復されるが、ごく一部は死滅すると、研究グループは説明している。

 研究の筆頭著者の1人である米スタンフォード大学医学部助教授のPatricia Nguyen氏は、「CTによる少量の放射線被曝でも、細胞損傷を引き起こすことがわかった」と述べる一方、それが患者にがんなどの悪影響を及ぼすかは不明だとした。

 同氏らはこの知見に基づき、医師らはCTスキャンの線量低減のための対策をとる必要があると述べている。今回の研究では、CTスキャンによる被曝線量が最も低かった健康な平均体重の人にはDNA損傷は認められなかった。

 しかし、それでもCTスキャンによる被曝は胸部X線の150倍以上にもなると研究チームは指摘する。また、米国立がん研究所(NCI)は2007年、米国内で同年に実施された7,200万件のCTスキャンが将来的に2万9,000例のがんに関連する可能性があると予測している。

 米オレゴン州ポートランドのがん専門医Lucy Langer氏は、「DNA損傷の修復や排除ができない細胞は、変異細胞と呼ばれ、がん性腫瘍になる可能性がある」と説明する。しかし、今回の研究は放射線によるDNA損傷と将来のがん発症との関連を明らかにするものではなく、可能な限り被曝を最小限にとどめるよう注意する必要があるとの考えを裏付けるものだと同氏は述べている。

 Nguyen氏もこれに同意し、「CTスキャンを排除すべきではないが、線量を低減し、機器や技術を改良し、患者を防護する対策をとることにより、さらに安全なものにできる」と述べている。

日本は全世界のCT装置の半分を使っている

 医療用画像診断の過剰使用問題はだいぶ前から米国で論議が繰り返されていた。その背景になるのは画像診断の医療費が膨大なものであることと、被曝の2つだ。そしてどちらかといえば医療経済的な側面が強くなっている。

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