遺伝子組み換え食品の現状とは?「ザル規制」で中韓に遅れをとる日本!

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遺伝子組み換え米はすでに流通している!?shutterstock.com

 昨年7月末、北京で遺伝子組み換え(GMO)食品とモンサント社開発の除草剤グリホサートの使用によって引き起こされるさまざまな問題を討議するユニークな国際会議が北京で開催された。参加国は中国を始め、台湾、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、デンマーク、ドイツ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、ペルーなどで、日本の姿はここにはなかった。

 これまで中国は、独自の遺伝子組み換え技術に多額の予算を投じ、遺伝子組み換え農産物の可能性を探ってきた。主な生産物は綿花やタバコなどだが、基礎食品である米の開発に力を入れており、商業ベースに載せるものと予測されていた。

 事実、2009年には中国農業部が2種類の遺伝子組み換え稲と、1種類の遺伝子組み換えコーンの安全証書に許可を出しており、中国人の主食が遺伝子組み換え米になると大きな話題を呼んでいた。

 しかしその一方で、国内で遺伝子組み換え食品をめぐる事件が相次いだ。
2009年、広西自治区にある19大学の男子学生217人の精子について検査分析した結果、57%に異常が見られたと地元メディアが報じた。この検査結果と遺伝子組み換えコーンとの関連性が、一部の専門家から指摘されているのだ。

 なぜならこの自治区では、2001年から米国モンサント社と協力関係を結び、地元農民に知らせないまま大規模に遺伝子組み換えコーンの栽培を始めているためだ。通常は、遺伝子組み換えコーンは工業原料や飼料などとして使用されるが、トウモロコシが米に続いて第2の主食である同地区では普通に、人の食用に使用されていたのだ。

 さらに2017年7月、大きな話題となったのが、華中農業大学で開発された遺伝子組み換え米が,武漢の大手スーパーで普通に販売されている事実が報じられた。中国本土では遺伝子組み米を商業目的で栽培、販売することがまだ違法であるため、中国国内で遺伝子組み換え米に対するさまざまな反響が引き起こされ、国民の関心が高まることになる。そんな時期に開催されたのが、冒頭の国際会議だった。

遺伝子組み換え食品に対する日本の対応の遅れ?

 このあたりから中国政府の遺伝子組み換え食品に対する姿勢が大きく変化した。中国らしい駆け引きである可能性が高いが、6月には米国から輸入したトウモロコシと加工品の計125万トン余りの中から遺伝子組み換え成分が検出されたとして輸入を拒否している。結局、遺伝子組み換えトウモロコシの輸入はその後解禁されるが、遺伝子組み替え米とトウモロコシを開発してきた計画を継続しないことも決定している。

 いったい中国政府は何を考えているのか? これはあらゆる事案で感じられることだが、ひとつには遺伝子組み換え食品の安全性に対する国民の意識の高まりに対して、政府もある程度の"ポーズ"をとらざるを得ないのではないか。しかし仮にそれがポーズだとしても、現実的な成果を生み出すこともある。

 遺伝子組み換え食品に関して、消費者が選択の基準として最も必要な情報は個々の商品にどれだけその使用が表示されているかどうかだ。

 日本では加工食品32分類に対して遺伝子組み換え食品の表示義務があるが、混入上限(混入閾値)は5%まで許されており、しかも加工によって変質して検出できないことを理由に食用油やしょう油などは表示義務から除外されている。さらに使用材料の重量比が4番目以下であればこれもまた表示義務がないというザル規制だ。

韓国で話題となっている学校給食への混入問題

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