連載第9回 目に見えない食品添加物のすべて

安全性が疑われる添加物の大量使用。うまく付き合うための3原則とは?

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「危害が出ていない」ということと、その食べ物が「安全」であるということは、はまったく違う shutterstock.com

 なぜ安全性が疑問視される添加物が使い続けられているのだろうか――。それは「明確な被害」が出ていないからだ。

 食べてすぐに体に異常をきたすのであれば、最初から許可されない。しかし、「危害が出ていない」ということと、「安全」はまったく違う。

 安全性に疑問のある添加物を長期間使い続けた結果・結末がどうなるか、人類にどんな健康被害を与えるのか、誰にもはっきりとはわからない。結局、私たちは何を優先して、何を捨てるか自ら選択しなければいけない。

 添加物と付き合うために大事なことは次の3原則に集約できる。

 この3原則は、添加物のみならず、農薬・環境物質・放射性物質など私たちが化学物質と付き合う際にすべてに当てはまることだ。

その1:メリットとリスクを同時に考える――「おかげ」と「せい」を知る

 まずはメリットとリスクを知り、それを同時に考えること。食品が安くて簡単に食べられて、便利でキレイ、おいしい。これらは添加物の「おかげ」。一方、過去に発がん性の発覚で禁止された事例もある添加物そのものと塩分や糖分、油分を摂りすぎてしまうことも、大人も子どもも食べ物の尊さを忘れてしまうことも添加物の「せい」。

 今、日本では自動車事故で年間4000人以上が亡くなっている。排気ガスはCOを含む毒ガスで、微粒子は発がん物質だ。CO2は地球温暖化の要因の1つとなっている。しかし、そこで「自動車をなくしてしまえ」という語論は起こらない。メリットを享受するために同時に発生するリスクをできるだけ小さくする努力をしている。

 リスクを承知でメリットをとるのか、あるいは不便さを引き受けてリスクを減らすのか。それを同時に考えるということである。

その2:二者択一の覚悟をする――リスクの覚悟が必要

 メリットとデメリットを踏まえたうえで、私たちは「二者択一の覚悟」をしなければならない。毎日の食事は、コンビニやファストフード、出来合いのお弁当やお惣菜、インスタント食品などですませれば、便利で簡単。手軽にすませることができる。

 しかし、そこで摂取することになる添加物は100~200種類以上だ。さらに家庭での手づくり料理で食べるよりはるかに多い塩分や糖分、油分を摂ることになる。摂った以上は添加物によるリスクを覚悟しなければならない。

その3:優先順位を考える――何が一番大切か

 安くて、簡単、しかも手軽で便利、さらにはきれいでおいしい。しかし、それを優先させるということは、食品添加物を多種多様に摂ることになる。食品添加物を摂ることがいやなら、時間をつくってできるだけ自分で料理をつくることしかない。

 その際に考えたいのが、「自分」や「家族」にとっての優先順位だ。添加物を多種多様に摂れば、時間ができ、安い食費ですみ、その分経済的にも余裕ができる。しかし、本当にそれが優先すべきことなのだろうか。

 子どもに食品添加物を与えて得られるメリットは何なのか。食物の持つ本来の味を感じられなくなったり、健康を害してまで、便利さを優先すべきなのだろうか。「自分の」「家族の」「社会の」「日本の」、それぞれの優先順位を考えてみてほしい。きっと見えてくるものがあるはずだ。


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安部司

安部司(あべ・つかさ)
1951年福岡県生まれ。総合商社食品課に勤務後、無添加食品の開発・推進、伝統食品や有機農産物の販売促進などに携わり、現在に至る。熊本県有機農業研究会JAS判定員。経済産業省水質第1種公害防止管理者。工業所有権 食品製造特許4件取得。食品添加物の現状、食生活の危機を訴え続けている。主な著書にベストセラーとなった『食品の裏側』(東洋経済新報社)、『なにを食べたらいいの?』(新潮社)、『「安心な食品」の見分け方 どっちがいいか、徹底ガイド』(祥伝社)などがある。

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