文部科学省の学校保健統計調査によると、平成26年の小学生の喘息(ぜんそく)患者の割合は3.88%、20年前の約3倍にもなるという。
喘息はもちろん、アトピー性皮膚炎、鼻炎、結膜炎など、さまざまなアレルギー性疾患の原因になるのがダニ。生きているダニだけでなく死骸やフンもアレルゲンになるため、退治するだけでは解決にならない。今回は、その撃退法を解説しよう。
ダニで厄介なのは、そのフンだ。ダニのフンのアレルギー活性は、ダニ成虫の1.8倍もあり、スギ花粉より高い。家の中にいるダニの約9割はチリダニで、そのフンの大きさは0.01~0.04mm。人間の気管に入ることが可能な大きさは0.01mm以下なので、体内へは侵入しないと思いきや、そうではない。フンは時間が経つと乾燥して粉々に崩れ、1μm(0.001mm)まで細かくなる。それが家の中を舞い、口や鼻、皮膚から体内に侵入するのだ。
ダニは卵から幼虫になるまで約1週間、成虫になるまで約1か月、成虫になってから約2~3か月生きる。その間、1日平均6個のフンを出し、一生では500個以上のフンをすると考えられる。それが細かくなるのだから、ダニ1匹当たりだけで相当な数だ。家の中には膨大な数のダニがいるといわれる。フンのかけらの数は、果たして数千万か数億か......。想像するだけでぞっとする。
このように厄介なフンだが、取り除く効果的な方法がある。洗濯機で洗い流すことだ。フンは水溶性なので、洗うと9割以上が水で流される。布団のような厚物でも90%以上、シーツのような薄物なら実に99%が落ちてしまう。ただし、洗濯機にぎゅうぎゅう詰めではいけない。フンの落ち方が悪くなったり、いちど落ちたフンが別の場所に再付着したりするからだ。
とはいっても、家の中には簡単に洗濯できないものもたくさんある......。では、どうしたらしいか?
ダニの好む環境は人にも快適
ダニの生育環境には以下のような条件がある。
▶︎気温10~35℃
▶︎湿度50%以上
▶︎エサ
▶︎もぐっていられる場所
気温や湿度は人にも快適な範囲だ。エサの埃、フケ、アカ、カビなどは家中いたるところにあり、無くすのはなかなか難しい。もぐれる場所は、畳、じゅうたん、寝具、ソファ、クッションなど、これもたいていの家にある。ダニをゼロにするのは無理としても、可能な限り減らす方法はないものだろうか。
まず、ダニの宝庫ともいえる布団について撃退法を探ってみよう。巷間いわれている布団のダニの撃退法には、効果が高いもの、まずまずのものから、それほど効果的でないものまでいろいろある。次のうちどれが効果的か、まずは予想を立ててみてほしい。
▶︎丸洗い
▶︎天日に干す
▶︎表面に掃除機をかける
▶︎圧縮ビニール袋に入れる
▶︎防ダニ寝具を使う
▶︎電気毛布を使う
▶︎布団乾燥機を使う
さて、あなたの予想は?