"ヒモ"男性ほど浮気する!? 経済的な依存度の高いパートナーほど浮気リスクがアップ?

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パートナーとの収入バランスが浮気リスクを変える!? voyagerix/PIXTA(ピクスタ)

 配偶者への経済的な依存度が高いほど、パートナーを裏切る可能性が高い――。米コネチカット大学社会学助教授のChristin Munsch氏らによる、このような研究成果が、『American Sociological Review』(6月号)に論文として掲載された。

 Munsch氏らは、2001~2011年に米国の既婚者2750人超(18~32歳)から収集したデータを分析。すると、経済的に夫に完全に依存している女性が浮気する可能性は5%、経済的に妻に完全に依存している男性が浮気する可能性は15%だった。

 さらに、夫婦の収入における妻の負担割合が大きいほど、妻が夫を裏切る可能性は低かった。一方、総収入の70%以上を負担する男性は、妻を裏切る可能性が高かった。

 Munsch氏は、「人は『恩をあだで返す』ことはしたがらないと思うだろうが、今回の結果はそれにあてはまらなかった。この研究結果は、人は比較的同等の関係を望むことを示している」と述べた。

 また、配偶者に対して経済的に完全に依存している場合、男性のほうが女性よりも浮気をする可能性が高かったことは、「この理由は、男性らしさに対する"脅威"で説明がつくと思われる」と話している。

 「男性、特に若い男性の場合、よくいわれる"男性らしさ"の定義には、複数の性交渉相手に対する性的生殖能力と征服がある。不倫は、脅かされている"男性らしさ"を再び確立する方法になる可能性がある。また、不倫によって、稼ぎのよい配偶者から遠ざかることができる」と、同氏は述べている。

 男性のなかでも、最も浮気しやすいのは、配偶者に経済的に完全に依存している、いわゆる「ヒモ」の男性というわけだ。男性の収入が配偶者の収入に対して増えるほど、浮気をする確立は低くなるという。
 
 ところが面白いのは、男性の収入が夫婦の総収入の70%を占める場合、男性は浮気することが最も少ないが、70%を超えると、また浮気が増えるようだ。お金にも時間にもゆとりが生まれるため、勝手気ままに遊んでしまうのだろう。

夫は妻より経済力が落ちると浮気を始める?

 同じような研究は、アトランタで開かれた米社会学会(2010年)でも報告されている。米コーネル大学の研究チームによる「夫は妻より経済力が落ちると浮気を始める」というもの。

 研究チームは2002~2007年までの間に実施された「アメリカ若年層成長研究調査報告書」をもとに、1年以上一緒に暮らしている18~28歳の男性1024人、女性1559人のデータを分析。同居する2人の収入と浮気にはある一定の関係性が見られたという。

 その結果、稼ぎがパートナーより少ない男性では、そうでない男性よりも浮気率が高かった。研究チームは、男性にとって「一家の稼ぎ手」は男性のステータスであり、それが危うくなった時に「浮気」という手段でそのアイデンティティーを回復しようとしているのではないかと見ている。

 女性の場合は少し異なる。「稼ぎ手」の女性は、そうでない女性よりも浮気する確率は高い。つまり、女性の稼ぎが男性より多いカップルは、双方が浮気に走りやすいという絶望的な状況にある。だが、家計をパートナーに依存している女性では、浮気率は低かった。

 前述のコネチカット大学の研究結果と同様、男性については、女性よりもはるかに高い経済力を持つと、やはり浮気をするそうだ。コーネル大学の研究では、最終的に男女の適正な経済力の関係は、女性の稼ぐ額が男性の収入の75%になるのがちょうどよいらしい。

日本では「経済的な不安」が未婚に拍車

 日本では、「合計特殊出生率」が4年連続で全国ワースト2位の京都府が、少子化の大きな要因とされる結婚に関する調査を昨秋に実施。すると、結婚を望む未婚男女の4割超が結婚条件に「経済的余裕」を挙げる一方、6割超の未婚男女が年収300万円未満という実態が浮き彫りとなったという。

 また、日本生命保険が6月15日に発表したアンケート調査では、独身女性の 3割強が「結婚したくない」などと結婚に後ろ向きな回答をした。「経済的な不安」を理由に挙げたのは、男性16.4%に対して女性は4.2%。男女の8割超が共働きを望むなど、女性の働く意欲や経済面での先行き不安を色濃く反映する結果になったという。
 
 6月19日、「労働者派遣法改正案」が衆院を通過した。改正案に反対する野党は「一生派遣の人が増える」と批判。さらなる非正規雇用の増加は、「経済的な不安」を理由とする未婚率に大きく影響を与えそうだ。社会状況と国民性を鑑みると、「稼ぎ手」の収入バランスによる浮気傾向は、日本では米国の研究結果とは違う結果となるかもしれない。
(文=編集部)

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