連載第3回 眼病平癒のエビデンス

地下アイドル仮面女子・神谷えりなを苦しめていた後天的な斜視とは?

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手術前のラスト公演のとき(神谷えりなブログより)

 「地下アイドル」仮面女子神谷えりなさんの斜視が話題となり、5月28日のブログでは「簡潔に言うと、、、無事手術がおわりました!!」と手術報告を行いファンを安心させたようです。

 斜視は、乳幼児に見られる目の位置異常と思われていますが、後天的に、つまりある程度の年齢になってから斜視になることもあります。今回は、後天的な斜視についてお話し致します。

 まずはじめに斜視の定義から。目の位置は、正面を見た時に、左右の目が同じ目標を見ていると「正位」と呼ばれます。一方で、片目は目標を向いており、他方の目が違う方向(外・内・上・下など)を向いていると斜視と呼ばれます。

 後天的な斜視の特徴は、「複視」と言って、物が2つに見えることです。目を動かす筋肉は片目に6本あり、後天的な斜視では、筋肉や筋肉を動かす神経に原因があり、左右の目が同じ目標を向けなくなります。原因は、はっきりしないことも多々ありますが、さまざまな頭蓋内の疾患や全身疾患が原因となります。原因を調べるために、眼科的な検査以外に画像検査(CT・MRIなど)や血液検査などを行ないます。主な斜視の種類と原因には下記のような物があります。

斜視の種類は眼の位置ずれによって違ってくる

 斜視の種類としては「外斜視」「内斜視」「上下斜視」とその他の斜視です。

 「外斜視」は、片目が目標を向き、他方の目は外側を向いている目の位置ずれです。代表的で、しかも重篤な原因としては、動眼神経麻痺が挙げられます。動眼神経とは、外直筋以外の眼筋を動かす神経で、同時に眼瞼(まぶた)や瞳孔(ひとみ)の動きも支配しています。この動眼神経が麻痺すると、外斜視による複視・眼瞼下垂・散瞳(ひとみが大きくなる)などの症状を示します。

 動眼神経麻痺は、外傷や脳虚血などでも起こりますが、頭痛や散瞳を伴う急な発症の場合は脳動脈瘤の可能性があります。適切な時期に適切な治療を行わないとクモ膜下出血を発症し命にかかわることもあります。

 「内斜視」は、片目は目標を向き、他方の目は内側を向いている目の位置ずれです。原因としては「外転神経麻痺」「開散麻痺」「輻湊(ふくそう)痙攣」があります。

 外転神経麻痺は目を外側に動かす神経の麻痺です。原因としては、脳血管障害、糖尿病、頭部外傷などが挙げられます。開散麻痺は、遠くを見る時に目を離す離し目(開散)が上手にできなくなる状態をいいます。
 
 開散麻痺は、どちらかの目が悪いというよりも、両目の共同性の動きが障害された状態といえます。読書など近くを見た時は複視の自覚はなく、遠くを見た時に複視を自覚します。脳幹と呼ばれる部分の障害で起こるといわれています。原因は不明のこともありますが、脳の血管障害、脳腫瘍、外傷などが挙げられます。また、近年、近視、特に強度近視で開散麻痺に類似した症状を呈する場合があることが報告されています。

 開散とは逆に人は近くを見る時に目をよせ(より目、輻湊)ますが、輻湊痙攣はこの状態が過剰であるために内斜視となります。原因としては、ヒステリーやうつ病、あるいは脳血管障害や脳腫瘍などが挙げられます。

 「上下斜視」は片目が目標を向き、他方の目は、上または下を向いている目の位置ずれです。目を内下方に引っ張る筋肉である上斜筋の動きが悪くなる上斜筋麻痺から複視を自覚します。原因としては先天性・脳血管障害・糖尿病・外傷などが挙げられます。一部の症例では、自然に改善することもあります。

 その他の斜視として、甲状腺疾患や重症筋無力症などの全身疾患では、目にも、あるいは目にだけ症状が出ることがあります。このような疾患では、目の位置ずれの方向に規則性は無く、また一日の中で症状が強い時と弱い時が見られます(日内変動)。

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