腰痛は温める?それとも冷やす? 牽引やコルセットの効果は?
腰痛になったときに温めるべきか、冷やすべきか、しばしば議論になる。炎症があり、じっとしていてもズキズキするような急性期は冷やし、炎症が引いたら温めるという説がこれまでは強かった。
しかし、さまざまな試験では冷やしてよくなったと断言できる結果は出なかった。急性腰痛に関しては、温めるほうは良い結果が多く、さらに温めて運動も行うと、温めただけ、運動しただけよりもさらに良い効果が得られることが判明した。一方、慢性腰痛に関しては温めて良くなるかどうかははっきりしていない。
牽引の効果に関してもいまひとつの結果だ。坐骨神経痛を伴う腰痛に関しては効果があるとする試験結果もあるが、それ以外に関しては効果がほぼないという結果に。
コルセットは痛みを改善する効果はないが、急性期の機能改善には有用だ。慢性腰痛に関しては効果が見られず、コルセットは腰が不安定な状態のときには役立つが、長くつけたままにすると、筋肉を甘やかし、かえって腰痛を招く危険が高い。コルセットはあくまで、うかつな動きをすると強い痛みが走るような状態のときだけと考えたほうがいい。腰痛を恐れて年中コルセットをしているのは腰痛対策としてはむしろ悪いことである。
マッサージ等の効果もはっきりと良いという結果は少なく、一方、悪化させるケースは多い。下手なマッサージは避けたほうが安全だ。
次回は具体的にどのようにすれば腰痛を予防できるのか、どうすれば腰痛とお別れできるのかを紹介する。
森田慶子
森田慶子(もりた・けいこ)
経験20年の医療ライター。専門医に取材し、その分野を専門外とする一般医向けに発信する医師向けの医学情報を中心に執筆。患者向けの疾病解説の冊子や、一般人向けの健康記事も数多く手がける。これまでに数百人を超える医師、看護師などの医療従事者から、最新の医学情報、医療現場の生の声を聞いてきた。特に、腰痛をはじめとする関節のトラブル、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、うつ病や認知症などの精神疾患、睡眠障害に関する記事を多く手がけてきた。