連載第1回 眼病平癒のエビデンス

「加齢黄斑変性が手術で治る」という誤解を広めたTVの健康番組で臨床現場が混乱

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 TV番組がどの程度の専門医の監修を受けているかも非常に大切です。中途半端な内容により、啓発とは逆に間違った知識を伝えることもあります。本来は、"診察を受ける動機づけ"にしてもらうべき啓発番組で、時に間違った方向に行ってしまうこともあり得るのです。

TVで啓発番組があった後の外来では、患者サイド医師サイドで次のような傾向が見られます。
<患者サイド>
1.紹介された症状に思い当たる点があると、診察を受けたくなる。
2.紹介された病気だと思い込んでしまう。
3.紹介された薬を使ってみたくなる。処方を強く希望する。
4.TVの説明を鵜呑みにしている。違う説明を受け付けない。

<医師サイド>
1.自分の説明は聞いてもらえないだろうと思ってしまう。
2.紹介された病気が無い場合は、納得してもらえないだろうと思ってしまう。
3.不必要な投薬や治療を強いられる事に嫌気がさす。

 TV・インターネット・雑誌の情報を鵜呑みにしてはいけません。内容はあくまでも一般的な物であり、中には間違った情報が含まれている可能性もあります。自分を直接診察した医師に相談するなどして真偽の確認を行ってください。可能であれば、受診する時に、家族や友人など信頼できる第三者に同席してもらい、医師の話を一緒に聞いてもらうと良いと思います。

連載「眼病平癒のエビデンス」のバックナンバー

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。2019年4月より現職。
日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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