連載第8回 目に見えない食品添加物のすべて

食品廃棄量が世界でもトップクラスの日本。食の価値観の崩壊が原因

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毎日大量の食品が廃棄される freeangle / PIXTA(ピクスタ)

 日本の食品廃棄量が世界でも1、2位を争うほど高いのをご存じだろうか。政府広報によれば、日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量だという。民間の調査では、2700万トンという報告もある。そのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまうもの、いわゆる「食品ロス」が500万トンから900万トンもあるといわれている。日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っているが、その半分近くを捨てていることになる。金額にすると、111兆円にものぼるというデータもある。

 2009年6月にセブン‐イレブン・ジャパンが、消費期限の近い弁当を値引きして売った加盟店に圧力をかけ、安くして見切り販売をしないよう強制したとして、公正取引委員会から独占禁止法違反で排除命令が出された。

 セブン‐イレブンの場合、たとえば消費期限午後7時の弁当の原材料ラベルの右上にF17と記号が入っている。これは消費期限の2時間前、午後5時(17時)には自動的にレジを通過しなくなり、商品として販売できなくなるという意味だ。コンビニは現在、日本全国で5万件あるが、たとえば各店が弁当を1日20食廃棄したとすると、弁当だけで、1日に100万食捨てられている計算となる。
 
 もちろん、コンビニだけではない。「うちの寿司は何時間で捨てるからいつも新鮮」というのを売りにするスーパー。「つくりたて10分以内の商品しか提供しません」と自慢げにうたうファストフード店。つまり、それ以上時間のたった食品はすべて廃棄されるということだ。
 
 賞味期限は製造するそれぞれのメーカーが決めるものだが、私がみてきた経験からすると、たいていはその食品が変質するまでの期間の3分の2を目安にしている。つまり、まだまだ食べられる食品が何のためらいもなく、捨てられているということになる。
 

消費者の賞味期限に対する過剰な反応

 まだ十分に食べられる食品を躊躇なく捨ててしまうコンビニやスーパー、ファストフード店なども問題だが、実はその裏で、消費者である私達にも問題がある。消費期限に対する異常なまでのこだわりだ。食品を買うときは、できるかぎり賞味期限が先のものを選ぼうとする。賞味期限が1日でも短ければ売れ残ってしまう商品もある。当然、家庭でも賞味期限切れになれば、即、ゴミ箱行きだ。売る側も買う側も食べ物を簡単に捨てることへの後ろめたさなどまったくない。その結果が、1900万トンもの食品廃棄物だ。

 弁当箱の容器のフタが少しでもマヨネーズで汚れていると買わない。食品が容器の中で片寄ってすき間があいていると売れない。容器がへこんでいると返品するスーパー。
 
 これで子どもたちに食べ物を粗末にしてはいけない、「もったいない」という気持ちを持ちなさい、などと私たち大人がいうことができるのだろうか。食べ物の大切さを忘れ、賞味期限や見た目のきれいさ、手軽さや便利さばかりを重視する・・・こんな大人たちの食の価値観に対する崩壊が、子どもたちの心や、食に対する意識にどんな影響を与えていくのか。
日本人の食に対する意識や文化の今後に懸念を感じざるを得ない。


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安部司

安部司(あべ・つかさ)
1951年福岡県生まれ。総合商社食品課に勤務後、無添加食品の開発・推進、伝統食品や有機農産物の販売促進などに携わり、現在に至る。熊本県有機農業研究会JAS判定員。経済産業省水質第1種公害防止管理者。工業所有権 食品製造特許4件取得。食品添加物の現状、食生活の危機を訴え続けている。主な著書にベストセラーとなった『食品の裏側』(東洋経済新報社)、『なにを食べたらいいの?』(新潮社)、『「安心な食品」の見分け方 どっちがいいか、徹底ガイド』(祥伝社)などがある。

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