医療用ロボットの進化と挑戦・第1回

人間の感情を理解できる人型ロボット「ペッパー」は認知症の進行予防に役立つのか!?

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開発者向けに300台が19万8000円で限定発売されたペッパーは1分で完売した(ソフトバンクグループのHPより

 今年1月の厚生労働省の発表によれば、2025年の認知症患者は730万人、65歳以上の5人に1人が認知症になるという。高齢者の夫婦が介護し合う「老老介護」から、認知症の夫婦が介護し合う「認認介護」への道筋が現実味を帯びてきた。

 本人や家族の精神的・経済的な負担は、ますます重くのしかかる。大学や製薬メーカーは、治療薬の研究開発に日夜しのぎを削るが、認知症根治への道はまだ険しい。認知症の進行を抑える妙薬はないのか? そんな観点からスポットを浴びているのが、医療用ロボットだ。

人間の感情を記録・分析・学習するロボット

 ソフトバンクの孫正義社長は、昨年6月5日、記者会見を行い、人間の感情を理解できる人工知能搭載の人型ロボット「ペッパー(Pepper)」を発表した。ペッパーの衝撃的なお披露目から8ヶ月。2月27日、開発者向けに300台が19万8000円で限定発売され、1分で完売したという。

 人間の感情を認識する「感情エンジン」という高度な人工知能(AI)を搭載したペッパー。人間の笑顔や反応を記録・分析・学習し、どのように行動すればいいかを考えて行動する。例えば、子供に絵本を読み聞かせると、子供の笑顔や親に報告する反応も自動記録し、感情のデータを蓄積して自律学習する。接客なら、お客さんの反応や人数に合わせて対応を変える。ペッパーは、ネットにあるクラウドAIにアクセスし、他のペッパーが記録したデータも活用して、自律学習を加速するのだ。

 つまり、ペッパーは、すぐに処理できる情報かどうかをまず判断し、大規模なデータ処理が必要ならば、クラウドで処理する。状況の変化にフレキシブルに応じる人工知能が、膨大で複雑なデータをスピーディに処理し、ペッパーがシームレスに感情を認識できるようにアシストしているのだ。

 ノイマン型のコンピュータが発明された1949年から66年。ノイマン型は、いわば人間の左脳だ。計算や記憶などロジカルに考え、情報を整理するのに役立ってきた。「感情を記録・分析・学習するペッパーの誕生でコンピュータが変わった。その歴史的な日が来た」と孫社長は自信たっぷりに語った。

ペッパーを認知症のサポートロボットに変身させるアプリ

 ペッパーの完売に先立つ2月22日、ペッパーアプリケーション開発コンテスト「Pepper App challenge 2015」が都内で開かれた。最優秀賞に輝いたのは、「プロジェクトチーム・ディメンティア」が開発した、ペッパーを認知症のサポートロボットに変えるアプリ「ニンニンPepper」だ。

ペッパー:「お孫さんはいくつになりましたか?」
おじいさん:「たしか8歳になったんじゃないかな」
ペッパー:「お孫さんに送るメッセージをどうぞ」
おじいさん:「そうだなぁ、正月には一緒に温泉に行こう」

 アプリ「ニンニンPepper」をダウンロードしたペッパーは、和やかな会話をさりげなくやってのける。開発者の吉村英樹氏は「ペッパーなら、常時インターネットに接続しているため、遠方に暮らす家族とコミュニケーションがとりやすい。写真を撮って家族に送ったり、タブレット画面を使ってテレビ電話もできる。家族と交流する機会が増え、認知症の進行を少しでも遅らせる効果がある」と話す。天気予報や最新ニュースをクラウド経由で患者に伝えるのもお手のものだ。

 ネットを活用すれば、ペッパーを経由して看護師や医師と連携する機能を組み込める。ペッパーが毎食後に「薬を飲みましたか?」と話しかけると、看護師は患者が薬を飲んだかを確認できる。ペッパーが集めた患者の生活パターンや会話によって、病状の進行状況をリアルタイムにつかめる。複数の患者情報を集約・分析すれば、認知症の病理解析や治療薬の開発にもつながるだろう。

 コンテストの審査員、サイバーダインの山海嘉之社長は「ニンニンPepperは、患者と家族、患者と医療人をつなぐソーシャルなアプリ。会話を楽しむだけでなく、医療や介護に役立つロボットのスマートな活かし方だ」と評価する。まだ開発段階だが、4月以降に介護施設や認知症の関連団体と連携した実証実験も始まる。

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