手術ロボットによる手術が、がんからの早期職場復帰を実現、難しい手術を可能に!?

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「手術ロボット」と聞くと、手術を医師ではなく、ロボットが行う、そんな時代になってしまったのかと不安な気持ちになるかもしれない。安心していただきたい。ロボットに手術を任せてしまうわけではない。手術をするのは基本的には人間の医師。手術ロボットが医師の分身のように動く、遠隔操作での手術である。

 手術ロボットは、患者に、どんなメリットがあるのか?最も大きなメリットは、手術ロボットでの手術が、内視鏡下手術の可能性を広げ、入院日数の短縮や、職場復帰の早さを実現する点だ。治療のためとはいえ、手術は人間の体に傷をつける行為。特に開腹手術や開胸手術などは、傷口が修復するだけでも、相当の時間がかかる。

 そこで近年、増えているのが、内視鏡下手術だ。内視鏡等が入るていどの小さな穴だけ空けて、そこから手術器具を入れて手術を行うので、回復は早い。昔だったら1週間入院していた手術が、内視鏡下手術なら日帰りできるものまで出てきた。

 患者の側からすれば、できるだけ手術の痕は小さいほうがよく、すべての手術を内視鏡下手術にしてほしいくらいだ。しかし、実は医師にとっては、内視鏡下手術はとんでもなく大変なのだ。

 開腹手術や開胸手術なら視界が大きく開かれ、手術する部位とその周辺を見渡しながら手術を行える。ところが内視鏡を使った手術では、医師は手術する部位を直接は見られない。平面の映像を見ながら手術するので、奥行き感がわからない。なにより大変なのが、鏡のような逆向きの操作。内視鏡下手術では、手術器具は穴の部分を支点にして動かす。つまり手術具の先端を左から右に動かしたいときは、術者は手を右から左に動かす。上から下に動かすときは、手を下から上に動かす。

 平面的な映像を見ながら、常に逆の動きをしながら、切除し、縫合する...慣れるには相当の時間がかかる。そのため内視鏡下手術を行える医師はまだまだ少なく、複雑な手術や細かい手術は従来の内視鏡下手術では難しい。

●遅れている手術ロボット手術の保険適用


 それに対して、アメリカで開発された手術ロボット「ダ・ヴィンチ」は、立体映像で手術部位を見ることができ、操作も実際と同じ。手術ロボットが医師の動きどおりに動き、手術を行う。そのため従来の内視鏡下手術よりも、習得が優しい。

 手術ロボットならではのメリットもある。医師も人間だ。長い時間、手術をしていれば疲れる。難しい手術なら緊張する。そういった疲れや緊張は手ぶれを招く。細かい部位の手術では、その結果、余計な血管や神経を傷つける恐れもある。しかし手術ロボットを使えば、手ぶれ補正をしてくれる。従来の手術では部位によって医師が無理な姿勢で手術を行わなければならないこともあるが、遠隔操作なので、自然な姿勢での手術が可能だ。

 これらのメリットにより、重要な神経がそばにある前立腺がんの手術は、意図しない神経の切断による勃起不全などを減らせるとして、アメリカでは手術ロボットを使うのが常識。実はアメリカでは手術ロボットは1997年から使われている。ヨーロッパでも既に普及している。しかし、日本では医療機器として認可されたのは2009年11月、しかも健康保険適用外だったために普及が遅れた。手術ロボットによる手術の保険適用は、2012年に前立腺がんが認められたのが最初で、2014年8月に腎細胞がんの部分切除手術、9月には胃がん手術が先進医療として認められたばかり。

 日本でも手術ロボットの開発が進められており、2014年6月には、国産手術支援ロボット開発のためのベンチャー企業が、文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクトとして設立された。国産の手術ロボットへの期待も高まっている。

(文=編集部)

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