連載第5回 心に響く闘病記ガイド

闘病記 子宮頸がんで「余命3カ月」と告げられ 自分らしさを貫いた女性の生き様

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『子宮は一つ、子宮がんは二つ――子宮体がん手術と抗がん剤治療を終えて』(堺典子/文芸社)

 堺典子さんは日本女子大学卒業後、コロラド大学の大学院で英文学と人類学を学び、帰国後は日本語講師に。67歳で子宮がん(ステージⅠc期)が発見され、子宮、卵巣、リンパ節を摘出、抗がん剤治療を受けます。抗がん剤治療中に『ハムレット』の舞台を観に外出し、病院に戻るのが遅くなって大騒ぎになったり、パソコンやルームランナーを病室に持ち込み、熱中しすぎてドクターに叱られたりといったエピソードなど、自分らしい方法で病のストレスを回避する、非常にポジティブな闘病生活が綴られています。また、抗がん剤の投与方法から病院内の言葉づかいまでを冷静に観察した「病院観察学」ともいうべき闘病記でもあります。


『末期がん宣告を受けとめて――女性外科医「いっしん」の遺したメッセージ』(石本左智子/エピック)

「いっしん」という愛称で、友人たちにこよなく愛された女性外科医・石本左智子さん。子宮がんを発病後、わずか39歳で亡くなるまで、患者として、そして医師としての思いを綴った闘病日記です。がんの進行の速さに残された時間を思い、化学療法の是非を考え、ホスピスへの転院を手配し、母と自らの葬儀について語る......。寡黙な父は娘の死後、残された専門用語の多い大学ノート5冊分の手書きの日記を、1年かけてワープロで清書し、本書を上梓しました。その父の想いも詰まっています。


『私、延命治療はしません――ガンで余命告知された妹・智子の選択』(戸田和子/リヨン社)

 戸田和子さんは、1998年の秋、36歳で未婚の妹・智子さんから「子宮頸がん(腺がん)と診断された」と聞かされます。子宮全摘手術を受けた妹は、排尿障害やリンパ浮腫に悩まされるものの、やがて子宮・卵巣がんのサポートグループの活動に参加し、損保会社の仕事に復帰。しかし、3年目に再発し、「余命3カ月」と告げられます。それでも妹は、放射線治療で痛みを押さえながら、家族や友人と温泉旅行に行き、車椅子で海外旅行を楽しみ、自分のがん保険の生前給付金を頭金にして姉のためにマンションを購入。さらに、自分が入るお墓の準備や、葬儀の手配までして亡くなります。死期を悟り、動揺しながらも、自分らしさを模索して貫いた女性の生き様が記されています。


『はいッ!ガンを治した赤星です』(赤星たみこ/扶桑社文庫)

 マンガ家の赤星たみこさんによる、笑いを交えた子宮がん手術とリハビリ体験エッセイ。病院が支給する体を拭くためのタオルの使い方に悩んだり、患者用の下着・T字帯の存在に驚いたりと、ある日、突然、入院生活を送ることになっても知らないことだらけのはず。本書では、図解で紹介される「入院お役立ちグッズ」をはじめ、自身の入院体験で困ったことや工夫したことなど、実用的な基礎知識が満載です。そして、赤星さんが今も元気で活躍されているのにも勇気づけられます。


『十四年十回のがん手術を生き抜いて』(植松文江/光文社)

  子宮の全摘手術を受けて以後、14年間にわたり、常に前向きに生きてきた植松文江さんの闘病記。植松さんは1937年生まれで、一女、二男の母。50歳代に入ったばかりで卵巣がんと診断され、外科手術で卵巣と子宮を摘出します。しかし、「ムチン細胞」と呼ばれる悪性のがんは腹腔内に散っており、同年、横隔膜と肝臓の一部を摘出、翌々年には脾臓を、続いて小腸の一部を、それから14年の間に、外科手術を10回、抗がん剤治療を30回も受けています。著者の夫は医師で、「夫としての気持ちよりも、医師としての危機管理がまず頭に浮かぶ」という典型的な外科医。妻ががんになったとき、夫が医師であることは不幸中の幸いなのか? ちょっと考えさせられる本でもありました。


『百万回の永訣――がん再発日記』(柳原和子/中公文庫)

 柳原和子さんは、筋ジストロフィー、医療過誤、薬害エイズ訴訟など、生命と医療に深い関心を寄せ、作品を発表してきたノンフィクション作家。自ら卵巣がんを患い、2度の再発、10年以上に及ぶ闘病生活を続けられました。医療問題全般について考えてみたいあなたにおすすめの一冊です。



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星野史雄

星野史雄(ほしのふみお)
東京家政大学非常勤講師。1997年、妻が乳がんで亡くなったことをきっかけに闘病記を集め始め、翌年、闘病記専門古書店「パラメディカ」を開店。自信も2010年に直腸がんが見つかり、手術。大腸がんの闘病記を過去に100冊以上読んでいた知識が、自身の闘病にも役に立っている。共同編著に『がん闘病記読書案内』(三省堂)。自らの闘病体験を記した『闘病記専門書店の店主が、がんになって考えたこと』(産経新聞出版)がある。
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