連載第3回 ありがとうの心が通う、幸せ介護食

旬の食材を食卓に並べ、季節が感じられる介護食を

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
newkaigo3.jpeg

食べづらい大恨も軟らかく煮れば、美しい形のままで味わえる

 木の葉もすっかり落ちて、外の景色もくすみがち。秋には母と近くのホテルの喫茶室でお茶を飲みながら、窓越しに紅葉を楽しんだものだが、これだけ寒いと母に風邪をひかれては大変。

 どうしても外出する回数が減り、デイサービスと家との往復になってしまう。それでも、天気のいい日にはなるべく外出するよう心がけている。私の車に母を乗せて近くの公園やお寺へ連れ出し、季節の景色や梅、桜、バラといった花を観賞したり......。花をめでる母の表情は、とてもうれしそうだ。

冬の食卓は明るく華やかに暖かさを演出

 外出できない日は、せめ食卓だけでも明るくしようと、テーブルクロスの色を淡いピンク色にしてみた。わが家の庭に咲いていた小さな花も飾って、華やかさを演出。母は目を細めて「かわいいね」と、花のある食卓に見入っている。これだけで食欲を増す効果がありそうなのだ。

 特に寒いある日。風呂吹き大根を作ることにした。大根は1年中出回っているが、今の時期のものは本当に軟らかく煮える。母のため食べやすい大きさに割り、味噌をかけてユズを添えた。練り味噌は、鶏ミンチを入れた鶏味噌にする。

「霜が降りる時期の大根は本当ににおいしくて軟らかいね」と旬の味に感心しながら、母を中心に私と娘の3人で食卓を囲む。鶏味噌の旨みが効いておいしかったのか、小食の母が大根を2個も食べた。

 今は一年中、いろいろな食材が売られていて手に入らないものはないくらい。でも、私はできるだけ旬の食材を食卓に並べるようにしている。母には、食べ物から季節を感じてもらいたいと思っているから。


「風呂吹き大根」の作り方
1.大根を厚さ3cmに切り、皮をむいて米の研ぎ汁で茹でる。
2.竹串がスーっと通ったら米汁を洗い流し、昆布だしの中に入れて十分に柔らかくなるまで煮る。
3.味噌をみりんと酒でのばしておく。
4.鶏のひき肉を炒めて3を加える。
5.ゆずの皮を刻んでのせる。


yokota.jpg

横田節子(よこた せつこ)
家庭料理、介護食研究家。1953年大阪生まれ。2000年秋、同居中の実母が脳梗塞で倒れ、介護のため、自宅での料理教室を閉鎖。2005年、母の介護中、母が食べる様子をヒントに『介護しながら作る介護食』(日本経済新聞社)を出版。同書の出版以来、介護食に関する講演、講習会、取材が多数。
連載「ありがとうの心が通う、幸せ介護食」バックナンバー

アジア圏での“独特の美”を追求~世界トップクラスの症例数を誇る日本の美容医療
インタビュー「ここから変わる! 美容外科の世界~グローバル化する日本の美容医療」第1回 聖心美容クリニック 鎌倉達郎 統括院長

日本の美容医療は、果たして世界のトップレベルにあるのか――。「第104回日本美容外科学会(JSAS)」の会長を務めた、鎌倉達郎医師に、日本の美容医療の現状と世界の趨勢について聞いた。