連載・知られざる漢方薬パワーの実像②

誤解や先入観が多い漢方薬、未経験でも安心して使いたい

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誤解や先入感が多い漢方薬、未経験でも安心して使いたいの画像1長い歴史の中で培われた漢方の治療方法

 漢方というと「即効性が無さそう」「効き目が弱い」というイメージはありませんか?残念なことに多くの方が漢方について様々な誤解をされています。

症状や種類によっては即効性を発揮することもあり、決して効き目が弱いということもありません。最近では急性疾患から慢性疾患まで幅広く応用できるお薬としてその価値が見直されています。

もっと漢方を賢く活用して真の健康を目指しませんか?今回は漢方の賢い試し方と活用法について、実例を交えながらご紹介します。

西洋医学と漢方は根本的な考え方が違う

 明らかになっている症状や原因を治すのが西洋医学ですが、東洋医学は目に見えて現れていない原因に対して体の内側から根本的な治療を目指すという違いがあります。

 西洋医学では検査により病気の原因を見つけて、そのターゲットに当てた特定の医薬品成分で原因を取り除きます。高血圧の治療で血圧を下げる、脳梗塞の予防のために血栓を防ぐなど、ターゲットが明確な場合には西洋薬を使った方が効果的です。

 一方で、漢方薬は複数の生薬が組み合わさって働き、全体を見て体のバランスを整え、体質から不調を根本改善できることが特徴です。一つの症状を解決する過程で複数の症状を同時に治すことができるところも漢方のメリットです。

漢方に関するよくある誤解

●急性疾患は西洋薬、慢性疾患は漢方は間違い

 今となっては急性疾患に対しては西洋薬が第一選択薬となることが多くなりましたが、1800年前に書かれた「傷寒論」という古典書によれば、漢方薬は熱病、いわゆる伝染病などの急性疾患に用いていたという記録が残っています。

 また、原因が特定できない不定愁訴や繰り返す慢性疾患に対しても漢方は寄り添うように効果を発揮し、体の内側から改善を促します。長く付き合う必要がある慢性疾患こそ、根本からの体質改善ができる漢方薬の出番です。

●漢方の効果にはエビデンスがない?!

 現在、日本では148処方の漢方薬に保険適応が認められています。しかし、漢方は「気血水」や「陰陽」などいささか現代的ではない概念を用いて処方を組み立てるため、未だに「漢方薬なんてどうやって効いているか分からない」という医者も多くいます。EBMつまりエビデンスが重んじられる現代医学では、メカニズムが明確でない漢方を使いにくいからです。

 しかし、近年は臨床・非臨床での研究がさかんに行われており、今まで概念的なイメージでしかなかった「利水」作用について、たとえば「五苓散」という漢方薬が、体内の水の移動に関わっているアクアポリンという細胞膜の水チャネルに作用して、水分代謝を調整しているということや、抗がん剤(イリノテカン)による下痢の副作用を半夏瀉心湯が軽減するという臨床データなど、様々な研究データが明らかになりつつあります。
(Science of Kampo Medicine 「漢方医学 」Vol.35 No.2 2011,「抗ガン剤NAVI」:https://navi.towa-oncology.jp/sideeffect/diarrhea/irinotecan.html)

笹尾真波(ささお・まなみ)

一般社団法人日本薬業研修センター漢方講座執筆・編集
漢方アドバイザー養成講座アドバイザー(国際統合治療協会)
ロイヤル漢方クラブあんしん漢方認定薬剤師
ご自宅で漢方アドバイスを試したい方はこちら(あんしん漢方)
https://www.kamposupport.com/anshin1.0/hp/

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