子どもへのスマホやタブレットは本当に悪影響なのか デジタル子育てガイドラインでは

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米国小児科学会が推奨するおもちゃはコレ!

 ちなみに、AAPが推奨するのは以下のようなシンプルなおもちゃだ。
・本
・お絵描きの道具(クレヨンなど)
・人形・ぬいぐるみ
・ブロック
・カードゲーム・ボードゲーム・パズル
・乗り物(車や飛行機、電車など)の玩具
・ボール

<おもちゃを用いた「ごっこ遊び」は社会性を培い、感情のコントロールなど実生活で必要とされるさまざまなスキルを身に付けるのに役立つ>(Mendelsohn氏)

 翻って現代の日本で、携帯型ゲーム機を持たない子はどれほどいるだろうか。公園などに集まった子どもたちが、個別でゲームに熱中する姿を見かけるケースは少なくない。ベビーカーに乗った子がスマホをいじる光景も珍しくなくなってきた。そうした光景に眉をひそめる人も多いようだが、実際のところ、それは何がどう“悪影響”を及ぼすのか。

デジタル製品による子どもの発達への影響は解明されていない

 シアトル小児研究所小児保健・行動・発達センターの施設長であるDimitri Christakis氏は、現時点ではデジタル製品が子どもの発達にどのような影響を与えるのかは明らかになっていない。だからこそ、デジタル製品を子どもが利用してもよいのか、ハイテクとローテクのどちらの教育が優れているのか、論争になりやすいのだと主張している。

 一方、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのAlan Mendelsohn氏は、「子どもはおもちゃを介して“親と一緒に充実した時間を過ごすことが重要”だ」とし、「幼い子は保護者との関わりを通じて多くのことを学ぶ。読み聞かせで声を出して一緒に絵本を読むことも、そうした関わりのひとつになる」と話す。

 デジタルデバイスの登場によって親や兄弟、友達などが互いに声を出してコミュニケーションをとる機会が奪われているとしたら、確かに問題かもしれない。逆に言えば、子どもたちが個別の携帯型ゲーム機を利用していても、集団でゲームに興じている場合は、コミュニケーションの機会が奪われているとは言い切れないのではないだろうか。

 もちろん、デジタルコミュニケーションのみに限定しないやりとりは必要だろう。今は、デジタルデバイスの利便性を享受しながら、うまく付き合っていくことを探る過渡期といえる。

大人のスマホ依存も軽視できない

 注目すべきは、Mendelsohn氏とChristakis氏の共通のアドバイスだ。それは、「子供との時間を充実したものにするには、親も携帯電話などの使用を控えるように」というもの。

 MMD研究所が15歳~59歳の男女2780人に行った調査によると、1日2時間以上スマホを利用する人は65.1%にも及んだ。大人のスマホ依存も軽視できず、親自身がデジタル製品との適切な距離を保つことも重要だろう。

 子供への関心を持ち続け、互いに声を出してコミュニケーションをとる機会を増やすことを心がけたい。

 同じ部屋にいても「親とスマホ」「子とスマホ」のコミュニケーションばかりになってしまい、「親と子」のコミュニケーションが希薄になることが、この問題のひとつの争点といえる。子どもがスマホやタブレットを介して親と一緒に充実した時間を過ごすことが出来るのであれば、スマホも他のおもちゃや本と同様のツールに過ぎないと言えるかもしれない。
(文=編集部)

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