スマホによって注意力が散漫になり食事を楽しんでいない
食事中もスマートフォン(スマホ)を手放せないという人は少なくない。しかし、スマホを食卓の上に置いたままだと、家族や友人との食事の時間を十分に楽しめないことが、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のRyan Dwyer氏らの研究で明らかになった。
この研究結果は、米サンフランシスコで開催(2018年8月9~12日)された、米国心理学会(APA)で発表された。同学会ではこのほか、自己中心的で自己愛的な人と比べて、思いやりのある人は、Facebookなどのソーシャルメディアの使用時間が短かったとする研究結果も発表された。
スマホで注意力が散漫~食事を楽しんでいない
Dwyer氏らはまず300人以上の成人男女を対象に「①携帯電話を着信音またはバイブレーションが鳴る設定でテーブルの上に置く」または「②携帯電話をマナーモード設定で入れ物に入れて置く」のいずれかにランダムに割り付け、レストランで友人または家族と一緒に食事を取る実験を行った。
そして、食事の後に質問紙調査を行い、会話や食事を楽しんだか、また注意力や退屈さの程度、携帯電話の使用頻度などについて調べた。
その結果、「①携帯電話が鳴る状態でテーブルに置いていた群」では、食事中に携帯電話を使用する頻度が高かったほか、注意力が散漫で食事の時間を楽しんでいないことが分かった。
さらにDwyer氏らは、米バージニア大学の学生120人を対象に、1週間にわたって1日5回、調査を実施した。調査では、それまでの15分間、何をしていたか、またどのような気分だったかを尋ねた。
その結果、誰かと対面で交流しているときに携帯電話を使用すると、使用しなかった場合と比べて、気が散りやすくなることが明らかになった。また、携帯電話の使用中は、目の前にいる人との交流により得られる喜びが感じられにくくなり、交流への興味も薄れやすくなることも分かった。