精巧な偽装も横行
これら未承認のRhino製品は、全米のコンビニエンスストアやガソリンスタンド、そしてインターネット上で当たり前のように売られている。また、米国内に国際便で輸送されてきた荷物の中からも発見された例が散見される。
これら健康被害リスク商品は、日本でも簡単に入手できる。「Rhino」の文字をネット検索してみると、たとえば「SUPER RHINO 海外直送品(1万9800円)」などを販売している通販サイトに容易にたどり着く。
日本でも14年6月に改正薬事法が施行されたことで、ネットを介して医薬品を誰でも自由に輸入することが可能になった。すると、輸入代行業者が続出し、彼らが運営する通信医薬品販売サイトでもRhino製品の取り扱いが増えた。その結果、サプリメントだけでなく医薬品のED治療薬においてもリスクが生じているのだ。
16年に4つの製薬会社(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)が行った合同調査によれば、日本国内のウェブサイトから発注したED治療薬の35.6%、タイ国内のウェブサイトから発注したED治療薬の48%が偽造品だったという。
「対面購入は恥ずかしいから」「病院を受診する時間と手間が省けるから」「安価に購入できるから」……。ED治療薬をネット購入する動機はさまざまだ。こういった「男心」につけ込みニセ物を販売する手口を、専門医はこう説明する。
「パッケージも精巧なので、素人にはホンモノとニセモノの区別がつかないと思います。ただし、なかには明らかな偽造品があります。『シアリス100』です。シアリスに100mgの錠剤は存在しません」
こういったニセモノ、粗悪品、有害薬に国境はないと考えたほうが賢明だ。FDAでも、新たなサプリメントを服用する際に、服用中の医薬品やほかのサプリメントとの相互作用に関し、かかりつけ医などの専門家に相談するよう助言している。
やむを得ずネット購入する場合でも、効果を大袈裟に謳う製品やレビューにべた褒めするサクラ評ばかりの商品には十分注意したい。製品情報を探す際、販売側の情報のみに頼らず、非営利で運用されている情報サイトなどの公平な評価に目を通してみるべきだ。
(文=編集部)