ネット通販で入手可能な「ED治療薬」の半分以上がニセモノ!男性を襲った「謎の痛み」とは?

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話題となったバイアグラ拡販用うちわ(「Wikipedia」より)

 下半身に元気がないが、何とか性行為を完遂したい。中高年にとってインポテンスは切実な問題。ED(勃起障害・勃起不全)治療薬という切り札があるのは心強いが、巷には依然として大量のニセ薬が出回っているのが実状だ。「偽物でも効果があれば構わないではないか」などと安易に考えて飛びつくと、場合によっては恐ろしい事態が待っている。
 
 都内に住む40代の会社員Aさんは、数年前の「出来心」をひどく後悔している。

「久しぶりに性行為ができそうな機会があったので、バイアグラか何かを用意しようと思いました。失敗したくないですからね。とはいえ、わざわざ病院に行くようなことでもないので、いろいろ調べた挙げ句レビトラを購入したのです。確か3錠で5000円だったかな。もちろん正規品だなんて期待はしていませんでした」
 
 Aさんは行為前、1錠を半分ほどかじって舌下から吸収。ほどなくして血流がよくなるのを感じ、無事に性行為を終えた。だが、その後に異変が襲った。

「ベッドでまどろんでいたら、胸を圧迫されるような感じがしたんです。副作用だろうな、と気にしなかったのですが、翌朝になると症状がひどくなった。薬効は切れているはずなのですが......」
 

●副作用に苦しむ日々

 ここから地獄が始まった。胸の痛みにとどまらず、恒常的に首や背中に鈍痛が走り、満足に仕事もできない。食欲はなくなり、体重は2週間で3~4キロ落ちた。たまらず病院に駆け込んだが、血液検査やレントゲンの結果は「問題なし」。症状を訴えても内科の医師は「様子を見ましょう」と言うだけで、薬の処方もなかった。
 
 時間が経過しても上半身の不快感や痛みはひどくなるばかり。事情が事情だけに家族や知人に相談できず、精神的にも追い詰められた。

「藁にもすがる思いで健康関連の本やサイトとにらめっこしました。その過程で、循環器系に問題がないとすれば消化器系ではないかとひらめき、胃や食道が悪いと上半身にさまざまな症状が出ることがあると知ったのです」

 別の病院で内視鏡検査などを行った結果、「逆流性食道炎」と診断された。胃酸や十二指腸液が食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激して炎症を引きおこす疾患だ。症状は一般的に胸やけやげっぷ、胸部不快感などだが、悪化すると上半身の激しい痛みを引き起こすことがあるとされる。
 
 治療薬を服用後、1カ月ほどでなんとか症状は癒えた。しかし、今でも不摂生が続くと再発するという。

「後ろめたさもあって医師には詳しく説明しなかったので、結局、錠剤との因果関係は不明です。よからぬ体のスイッチが入ってしまったのでしょうか。いずれにしろ、あの時に摂取しなければ......という自責の念に駆られます」
 
 2006年に製薬会社のファイザーが行った調査によれば、偽ED治療薬は世界69カ国で販売され、その量は本物の2.5倍にも上るという。ED治療薬を販売しているファイザー(バイアグラ)、バイエル薬品(レビトラ)、日本イーライリリー、日本新薬(シアリス)、日本新薬の4社が09年に行った偽ED治療薬の実態調査では、偽造薬が販売されていると報告のあった日本国内とタイでそれぞれ30サイトずつ、合計60サイトでバイアグラ、レビトラ、シアリスを購入し、含有成分について分析を行った。その結果、全体の55.4%が偽造だった。

 医療関係者は「人間は根拠もないのに『自分が入手した物だけは大丈夫』と思い込んでしまいますが、医師に処方してもらった薬以外はすべてリスクがあります。特に偽のED治療薬には、どんな不純物が混入しているかわかりません。安易な手出しは厳に慎むべきです」と警鐘を鳴らしている。
(文=チーム・ヘルスプレス)【ビジネスジャーナル初出】(2014年9月)

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