糖尿病は「貧困病」か、誰でも発症する「国民病」か?

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日本人の男性ホームレスの糖尿病有病率は、一般人と変わらない!

 次に日本の研究成果を見よう。

 2010年の国民健康・栄養調査「所得と生活習慣等に関する状況」によると、世帯所得が200万円未満(肥満者率25.6%)や200万~600万円(肥満者率21.0%)の女性は、世帯所得が600万円以上の女性(肥満者率13.2%)よりも、肥満になりやすい。つまり、低所得者ほど肥満になるリスクが高いとされている。

 しかし、これと異なる結果の研究もある。

 岐阜大学保健管理センターの西尾彰泰准教授らの研究グループは、「日本人の男性ホームレス生活者における糖尿病の有病率は、一般集団と変わらない可能性がある。社会的支援を受けている人は、受けていない人よりも耐糖能異常(糖尿病予備群)の頻度が低い」とする研究成果を『Journal of Diabetes Investigation』2018年9月28日オンライン版に発表した。

 発表によれば、研究グループは、名古屋市内の男性のホームレス生活者106人(平均年齢54.2歳)を対象に、その社会的背景、精神疾患や認知機能低下の有無と血液検査によるHbA1c値の関係を詳細に解析した。

 HbA1c値が6.5%以上を糖尿病、6.0~6.4%を耐糖能異常(糖尿病ではないが、血糖値が正常よりも高い状態)、5.9%以下を正常と推定した。
 
その結果、7人(6.6%)が糖尿病、12人(11.3%)が耐糖能異常だったが、その有病率は国民健康・栄養調査による一般集団と同様の傾向だった。耐糖能異常の有病率は、社会的支援を受けている人は、受けていない人よりも低かった。

 一方、精神疾患や認知機能低下の有無、ホームレス生活者であった期間や経験回数、喫煙や飲酒などの生活習慣、教育レベルによる、糖尿病および耐糖能異常の有病率の差は見られなかった。

 以上の結果から、研究グループは「都会の日本人男性ホームレス生活者における糖尿病と耐糖能異常の有病率は、日本人の一般集団と同様の傾向であるため、ホームレス生活者においてもこれらの疾患の早期発見、早期治療が必要である。また、社会支援の提供は糖尿病予防に寄与するだろう」と結論づけている。

 さて、日米の「糖尿病と低所得の関係」についての研究成果を見てきた。糖尿病は低所得者のリスクが高い「貧困病」か? 誰でも発症するリスクのある「国民病」か? 決着はついていない。
(文=編集部)

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