働きすぎの女性は糖尿病リスクが高い?
6月29日、参院本会議で「働き方改革関連法案(正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」)」が、自民、公明、維新の会の賛成多数で可決、成立した。
既報の通り、この法律の柱となるのは以下の3点である。
●第1の柱:働き方改革の総合的かつ継続的な推進(雇用対策法改正)
●第2の柱:長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等(労働基準法等改正)
●第3の柱:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
野党が主に反対したののは、このうちの「第2の柱」。ここに含まれる「高度プロフェッショナル制度」が、過労死や過労自殺を助長すると批判。過労死遺族からも「働き方関連法案を『過労死促進法』と言われても仕方ない内容で残念だ。
政府はどちらの方を向いているのか」と非難が続出していた(東京新聞:18年4月7日朝刊)。
実際、この法律によって、本当に「長時間労働」が是正されるのか? はたまた「過労死促進法」となってしまうのか……。
ちなみに、共同通信社が今年2月下旬から3月下旬にかけて112社を対象に実施したアンケートによると、高度プロフェッショナル制度に賛成する企業は28%で、裁量労働制の対象拡大も支持が35%にとどまった。
そして、いずれについても、約6〜7割の企業が「どちらとも言えない」と賛否を保留している。
仕事に加え家事・育児で女性は2型糖尿病に?
改めて指摘するまでもなく、長時間の残業などの過重労働は、さまざまな健康リスクを高めることが知られている。
今回ご紹介する『BMJ Open Diabetes Research and Care』(7月2日オンライン版)に掲載された研究では、「労働時間が週45時間以上の女性は、週35~40時間の女性に比べて2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性」が示された。
しかし男性では、こうした関連は見られなかったという。この結果について研究者らは、「女性は男性よりも家事や育児など家庭の仕事に費やす時間が長くなりがちなことが影響した可能性」を指摘している。
2型糖尿病の患者数は、世界的に増加傾向が続いており、2030年までに4億3900万人に達するものと推計されている。糖尿病は心臓病や脳卒中などの重大なリスク因子であり、その原因として主に肥満や運動不足、遺伝要因などが挙げられている。