連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第50回

市販薬に含まれる「カフェイン」による急性中毒症!自殺目的で若年者を中心に広く深く蔓延

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鎮痛解熱薬や総合感冒薬に含まれる「カフェイン」での急性中毒症に(depositphotos.com)

 現在、市販されている「鎮痛解熱薬」や「総合感冒薬」の成分として含まれている、カフェインによる急性中毒患者は、若年者を中心に更なる増加傾向にある。

 日本中毒学会による38施設の共同調査による報告によると、2011年度から2012年度までの2年間では15例を認めたのみであったが、13年度では24例、14年度では25例、15年度ではさらに増加して37例を認めたという。この5年間での急性カフェイン中毒患者は101名。2013年以降、患者が急増しているとのことであった。

急性カフェイン中毒症の最近の傾向

 2018年7月に開催された日本中毒学会総会でも、例年になく多数の急性カフェイン中毒症例の報告が相次いだ。これらの症例の主な傾向を挙げると、以下の5点が指摘された。

①青少年のカフェイン製剤の大量服用による自殺企図者が多数認められたこと。なかには14歳の小児例も含まれていたことなど患者層の低年齢化が進んだこと。

②市販されているエスタロンモカなどのカフェイン含有製剤を数か所の薬店で大量購入した症例やインターネットのサイトを利用して簡単に入手することが可能であった症例が多数認めたこと。

③自殺の方法をインターネットのサイトで調べて致死量を確認し、用意周到に実行に及ぶことも数多く認められたこと。

④カフェイン製剤の大量服用によるマスコミの報道に影響を受けて自殺志願者が増加する傾向にあること。

⑤特に未成年者に対する薬店での対面販売に関することやインターネットでの取引に関する規制が確立されていないこと。

 以下に本年度の当学会の代表的な報告例を紹介する。

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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