鎮痛解熱薬や総合感冒薬に含まれる「カフェイン」での急性中毒症に(depositphotos.com)
現在、市販されている「鎮痛解熱薬」や「総合感冒薬」の成分として含まれている、カフェインによる急性中毒患者は、若年者を中心に更なる増加傾向にある。
日本中毒学会による38施設の共同調査による報告によると、2011年度から2012年度までの2年間では15例を認めたのみであったが、13年度では24例、14年度では25例、15年度ではさらに増加して37例を認めたという。この5年間での急性カフェイン中毒患者は101名。2013年以降、患者が急増しているとのことであった。
急性カフェイン中毒症の最近の傾向
2018年7月に開催された日本中毒学会総会でも、例年になく多数の急性カフェイン中毒症例の報告が相次いだ。これらの症例の主な傾向を挙げると、以下の5点が指摘された。
①青少年のカフェイン製剤の大量服用による自殺企図者が多数認められたこと。なかには14歳の小児例も含まれていたことなど患者層の低年齢化が進んだこと。
②市販されているエスタロンモカなどのカフェイン含有製剤を数か所の薬店で大量購入した症例やインターネットのサイトを利用して簡単に入手することが可能であった症例が多数認めたこと。
③自殺の方法をインターネットのサイトで調べて致死量を確認し、用意周到に実行に及ぶことも数多く認められたこと。
④カフェイン製剤の大量服用によるマスコミの報道に影響を受けて自殺志願者が増加する傾向にあること。
⑤特に未成年者に対する薬店での対面販売に関することやインターネットでの取引に関する規制が確立されていないこと。
以下に本年度の当学会の代表的な報告例を紹介する。