「人生最初の記憶」は思い込みに過ぎない?(depositphotos.com)
人生で最初の記憶は、本物ではなく思い込みに過ぎないかもしれない――。
英国のロンドン大学やブラッドフォード大学の研究グループが、6600人を超える成人を対象に「人生最初の記憶」について調査した結果、約4割の人は「2歳以前の記憶がある」と回答しており、そうした記憶の多くは架空なものである可能性が示された。
研究の詳細は『Psychological Science』(7月17日オンライン版)に掲載された。
架空の記憶を捏造?
これまでの研究で、最も古い記憶は3歳~3歳半くらいで形成されることが示唆されている。
ブラッドフォード大学のShazia Akhtar氏らは今回の研究で、6641人の成人を対象に、「最も古い記憶がどんなもので、何歳ごろのものであったのか」を尋ねた。
回答の際には、幼いころの写真や家族の話などを情報源とした記憶ではなく、「自分が経験したと確信できる記憶」に限って報告してもらった。そして同氏らは、報告された記憶の記述を詳細に分析し、記憶は本物だと主張する理由について検討した。
その結果、約4割の参加者(2487人)は2歳以前の記憶があると回答しており、1歳以前の記憶があるとする回答(892人、約13%)も見られた。
また、こうした報告を詳細に調べたところ、2歳以前の記憶は実際の出来事ではなく、写真や家族の話をもとにした架空のものが多いと考えられた。2歳以前の記憶を本物だと確信している人は、中年期以降の人で多く見られたという。