親のスマホ&タブレット依存は子どもの「愛着障害」を引き起こす
スマホやタブレットは生活に欠かせないツールだが、さまざまな精神的な障害(テクノフェレンス)を招くリスクが高く、スマホ依存やスマホネグレクトに陥る親が少なくない。
20~39才の母親を対象にした内閣府の調査によると、「育児中、スマホやタブレットに助けられた経験は?」の問いに「よくある=26.9%」「時々ある=36.3%」と、およそ6割以上の母親がスマホに依存している事実が分かった。
親がスマホに夢中になり、子どもを無視(スマホネグレクト)していると、子どもの「愛着障害」を引き起こしやすいと警告する医療人が多い。
たとえば、『生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害』(朝日新書)の著者で、愛着障害などの精神医学に造詣が深い医学博士の岡田尊司氏もその一人だ(参考:「NEWSポストセブン」2016.06.26)。
岡田氏によれば、授乳中に赤ちゃんの目ではなくスマホを見たり、子どもの話しかけに上の空になったり、子どもに関心が行き届かなくなると、子どもの応答性が乏しくなるため、社会性・共感性の発達が阻害されたり、多動障害や情緒不安定を招くなどの愛着障害に陥りやすい。母親自身は育児放棄をしたつもりはないので、自覚しにくく、誰でも軽度のスマホネグレクトに繋がりやすい。親子の人間関係が希薄化し、家族の支え合いが崩壊しかねないと強調している。
また、明治大学文学部の教育学博士の諸富祥彦教授は、0~6才までの成長期に子どもが母親を見ているのに視線を合わせてもらえないスマホネグレクトが続くと、アタッチメント(愛着)が築かれないため子どもの感情をコントロールする力や他者を信頼する力が育たず、幼稚園、保育園、小学校で、すぐに癇癪を起こしたり、地団駄を踏んで泣き叫び続けると指摘する。
スマホ依存やスマホネグレクトは、仕事に必要な必要悪と捉えられやすく、親に育児放棄の認識が芽生えにくい。
世間は難問の地獄だ。難問を乗り越えようと、喧々諤々の意見が飛び交い、親は情報に翻弄される。しかし、子どもといる時だけは、スマホを置こう。子どもの眼差しにこそ、親子の希望も、子どもの未来も育まれているのだから。
(文=編集部)