DVの加害男性は約20%、被害女性は約40%も
「デートDV」という言葉は、だいぶ周知されてきた。しかし、その実態は、どれだけ人に理解されているのだろうか?
これまで見過ごされがちだった、密室での暴力がもっとクローズアップされるには、「デートDV」の深刻な実態を広く知ってもらう必要がある。そこで6月21日、製薬会社ファイザーの主宰で「デートDV」をテーマとしたセミナーが開催された。
女性だけでない!男性27.4%もデートDVの被害者!
登壇したのは、犯罪加害者家族の支援を行う、特定非営利活動法人「World Open Heart」の阿部恭子理事長と神奈川県内を中心に人権啓発活動を行なっている認定特定非営利活動法人「エンパワメントかながわ」の阿部真紀理事長。
阿部理事長は、「中堅世代デートDVの実態と生きづらさ克服のための適切な支援方法」と題して講演した。
その講演内容を踏まえて説明すれば、そもそも「デートDV」は、2003年に民間団体「アウェア」代表の山口のり子氏が提唱した言葉で、恋人間の暴力のことを指す。
この「暴力」には、セクハラ、虐待、ドメスティック・バイオレンス(DV)、ストーカー、リベンジポルノなども含まれる。
エンパワメントかながわの実態調査によれば、交際経験のある人のうち、デートDVの被害を受けたことがある人は38.9%。加害を経験したことのある人は20.8%。全カップルの3組に1組で起きている。
デートDVの被害者は女性だけではない。最近増えてきたのが男性被害者の相談だ。先の調査でも、女性で被害経験がある人は44.5%だが、男性も27.4%が被害を受けている。
阿部氏によれば、男性被害者の特徴は、被害を受けながらもそれを認められず「男なのに情けない」「もっと強くなければ」と話すことが多い。「男らしくあらねばならない」というジェンダー意識が被害を深刻化していると、阿部氏は言う。