修復腎移植~あまりにも長すぎた先進医療の審査。バトンは次の世代に

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日本の移植医療への信頼の回復と修復腎という新しいドナー・ソースを拡大することが急務(depositphotos.com)

 さる7月5日(水)、厚労省「第66回先進医療会議」が修復腎移植を先進医療として承認したという報道に接した。ドナーの選定会議に関係学会の有識者を入れるなどの、付帯条件は付いているが、主たる抵抗勢力だった4学会(日本移植学会、日本臨床腎移植学会、日本腎臓病学会、日本透析医学会)のもくろみはこれで潰えたと思う。

臓器売買事件が発端で明らかになった病気腎移植

 旧い報道によると、修復腎移植は「病気腎移植」「病腎移植」と呼ばれ、「悪い医療」として大メディアから頭ごなしに否定された。去る7月7日(土)深夜のNHK Eテレ『悪魔の医師か赤ひげか』という1時間番組を見て、初めて真実を知ったという人も多いようだ。
 
 私は2006年11月6日に、折から問題になっていた宇和島市在住の山下鈴夫氏の腎臓売買問題とからんで、腎臓の売り手だった女性も取材している。この事件の真相は、鈴木氏の著書『激白 臓器売買事件の深層:腎移植患者が見た光と闇』(元就出版社)に詳しいが、臓器売買に関して万波誠医師(宇和島徳洲会病院)の関与はまったくなかったと判明し逮捕も起訴もされていない。

 そこから、メディアや学会の非難は一気に万波誠医師が行なった修復腎移植へと向かった。修復腎移植とは「がんなどの治療のために摘出された腎臓を修復し、腎不全などで苦しむ患者に移植する」というものだ。

難波紘二(なんば・こうじ)

広島大学名誉教授。1941年、広島市生まれ。広島大学医学部大学院博士課程修了。呉共済病院で臨床病理科初代科長として勤務。NIH国際奨学生に選ばれ、米国NIHCancerCenterの病理部に2年間留学し血液病理学を研鑽。広島大学総合科学部教授となり、倫理学、生命倫理学へも研究の幅を広げ、現在、広島大学名誉教授。自宅に「鹿鳴荘病理研究所」を設立。2006年に起こった病気腎移植問題では、容認派として発言し注目される。著書に『歴史のなかの性―性倫理の歴史(改訂版)』(渓水社、1994)、『生と死のおきて 生命倫理の基本問題を考える』(渓水社、2001)、『覚悟としての死生学』(文春新書、2004)、『誰がアレクサンドロスを殺したのか?』(岩波書店、2007)などがある。広島大学総合科学部101冊の本プロジェクト編『大学新入生に薦める101冊の本』(岩波書店、2005)では、編集代表を務めた。

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