VAR判定がサッカーの主役に? ワールドカップ・ロシア大会で課題が山積

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人間の感情は裁けない?

 むしろ問題(=課題)は、各自の印象や心象の相違というべきか――あるファウルがはたして「意図的なもの」であるかどうかに関しては、①よりも②を用いての判定時において「レッドカード」を下す確率が明らかに高かった。

 Spitz氏らの解析見解はこうだ。

 「再生速度によって、選手の反則が不用意なものと判定されてのお咎めカードなしか、無謀なファウルと裁定されてのイエローカードか。あるいはそれ以上に過剰な意図的力で犯したレッド級の退場行為か、その判定度も再生速度によって左右される」

 さらに研究陣は今回の「タイムリーな研究結果」を踏まえ、「この再生速度に応じた相違点こそが今後、VARのガイドライン作成の際に考慮されるべき重要なポイントとなるだろう」と強調する。

 彼らが挙げるスロー再生映像による詳細な判定の利点はこうだ。はたして「誰が反則をしたのか」「実際に接触があったのか」「ファウルはペナルティエリア内であったのかどうか」、敵・味方双方が主張/抗議する以上のような点についてスロー再生(映像)は明確な判断を促す有用な可能性を秘めている。

 が、反面、当該選手が「意図的な反則したのかどうか」など、コトが人間の感情面の判定になると話は別次元となるようだ。

 Spitz氏は法廷での例を挙げて、「スロー再生の映像は意図的であるとの印象を強めてしまう。ゆえにその手の映像は法廷上の証拠として採用されないわけです」と説明した。

 いずれにせよ、VARで判定が覆されて試合の流れが急変したり、審判の見逃し場面に相手側監督が「VARも宝の持ち腐れ!」と試合後も不服を申し立てたりと、何かと耳目を集めた新導入システム。

 明らかなのはこのVAR導入の効果によって、いまだ伝説として語り継がれるディエゴ・マラドーナやティエリ・アンリの「神の手」得点場面も、今後は無効判定されてしまうだろうという点だ。多少の淋しさを覚えるのも、ヒトの感情の正体かもしれない。
(文=編集部)

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