身の回りの世話をしてくれる人間がいない独身男性が脳卒中に襲われた場合、「介護施設」に入居する確率が約3倍(depositphotos.com)
「〇〇〇」は日本人の死亡原因トップ3(がん・心疾患・肺炎)に続く「第4位」に位置し、年間「30万人」が新たに発症。高齢者が「寝たきり」に見舞われる原因疾患の「第1位」に君臨している――。
「〇〇〇」に入る正解は「脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)」なのだが、今回の米国発の報告記事はどうか、上記の国内の高齢者が「寝たきり」である事情も念頭に置きながらお読みいただきたい。
独身男性が脳卒中に襲われた場合……
身の回りの世話をしてくれる人がいない独身男性が脳卒中に襲われた場合、世話をしてくれる人が存在する同性と比べて、「介護施設」に入居する確率が約3倍――。
そんな発症後の明暗をくっきりと分けるシビアな調査結果が、10月26日の『Journal of the American Geriartrics Society』(オンライン版)に掲載された。
これは米アラバマ大学のJustin Blackburn氏らが実施した研究の成果であり、10年間(2003~2013年)に及ぶ大規模調査から「脳卒中の既住歴がある」男女560人(65~100歳)のデータを抽出解析した結果の報告論文だ。
稼ぎも少なく世話人皆無の独身は……
全対象者560人のうち、男女合わせて68人が発症後1年以内に介護施設に入居し、5年以内の入居組は119人いたという。
また、各人の属性(交絡因子:Confounding factor)を多変量解析で調整した結果、日常生活において世話人を有する人(男女共)に比べ、そういう存在が身近にいない人では、脳卒中発症後(1年以内および5年以内)の介護施設への入居リスクが約1.7倍であることが示された。
さらに男性層のみを「5年以内」の幅で比較した場合、世話人がいる男性陣に比べて、後者の独身男性陣は入居リスクが3.15倍にも上った。これは女性層のみの同比較が1.37倍のリスク増大に留まっていたのとは対照的な結果だった。
この他にも今回の調査研究では、年収が5万ドル(約560万円)以上の層と比べ、2万ドル(約225万円)未満の層では「介護施設入居率」が高い傾向にある点なども読み取れた。
主導者のBlackburn氏によれば、一般的に米国人は施設に入居する選択肢よりも、身内(配偶者、親、子どもなど)のサポートを受けながら自宅での生活を続けるほうを望むという。
たとえ、障害を抱えていようが、自宅生活を望む層が「7割超いる」のに対し、介護施設への入居を選ぶ層は「3割に満たない」と同氏は解説する。