あなたのスマホ依存がわかる10の質問
家でしかプレイできなかった、かつての家庭用ゲーム機と違って、いつでもどこでもプレイ可能なのがスマホゲーム。そのため、依存の度合いはより深刻だ。ときには、日常生活に深刻な支障をきたす。
樋口進医師の著書『スマホゲーム依存症』(内外出版社)では、ネット依存が深刻な韓国で作成された「スマートフォン依存スケール」が紹介されている(出所 Kwon M et al.Plos ONE,2013.邦訳:久里浜医療センター)。
その質問項目は、以下のようなものだ。
①スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない。
②スマホ使用のため、(クラスで)課題に取り組んだり、仕事や勉強をしている時に、集中できない。
③スマホを使っていると、手首や首の後ろに痛みを感じる。
④スマホがないと我慢できなくなると思う。
⑤スマホを手にしていないと、イライラしたり、怒りっぽくなる。
⑥スマホを使っていない時でも、スマホのことを考えている。
⑦スマホが毎日の生活にひどく悪影響を及ぼしていても、スマホを使い続けると思う。
⑧TwitterやFacebookで他の人とのやり取りを見逃さないために、スマホを絶えずチェクする。
⑨(使う前に)意図していたよりもスマホを長時間使ってしまう。
⑩周りの人が、自分に対してスマホを使い過ぎていると言う。
この10の質問に対し、「全く違う=1点」「違う=2点」「どちらかというと違う=3点」「どちらかというとその通り=4点」「その通り=5点」「全くその通り=6点」と点数をつけ、合計が31点以上となった場合は「スマホ依存の疑いあり」と見なされる。
「ゲーム障害」が正式な病名に
現在、国際的な疾病の診断ガイドライン「ICD-10」には、「ゲーム障害」の項目はなく、「スマホ依存」は「その他の習慣および衝動の障害」という病名をやむをえず当てはめている。
「ネット依存」という病名が正式に登録されていないため、カウンセリングに保険を適用できないなど、診療上の弊害も多かった。
そこで樋口院長は国際会議に参加した際、ICDの次回の改訂版「ICD-11」に、ネット依存を入れるべきだと、WHO(世界保健機関)の依存担当官に直談判。
樋口院長の尽力によって、2019年5月の世界保健総会で採択される「ICD-11」では正式に「ゲーム障害」という疾病名が採択される見込みだという。これにより、スマホ依存に対する治療もより整備されることが期待されている。
(取材・文=里中高志)
樋口進(ひぐち・すすむ)
精神科医。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。インターネット依存等の行動嗜癖、アルコール関連問題の予防・治療・研究などを専門とする。昭和54年、東北大学医学部卒。米国立保健研究所留学、国立久里浜病院臨床研究部長、同病院副院長などを経て現職。2011年に国内初のネット依存治療専門外来を設立。WHO専門家諮問委員、行動嗜癖に関するWHO会議およびフォーラム議長、厚生労働省アルコール健康障害対策関係者会議会長、同省依存検討会座長(2013年)、国際アルコール医学生物学会(ISBRA)理事長、国際嗜癖医学会(ISAM)理事などを務める。アルコール耐性を簡便に調べることができる「エタノールパッチテスト」の考案者でもある。著書に『スマホゲーム依存症』(内外出版社)、『ネット依存症』(PHP新書)など。