骨折を予防できないだけではなく副作用の危険性が!
先ほどの論文では「カルシウムサプリメントを摂取しているグループにおいて、尿路結石や消化器系のリスクが高かった」と報告しており、別の研究結果でも、心血管リスクの上昇の危険性も報告されていた。
また、腎臓結石の発症率についても、最大7年間、サプリメントを摂取し続けていたグループは、有意に高くなっていた。
これらの事実は、ビタミンDやカルシウムのサプリを摂取しても「骨折予防ができないばかりか、腎臓結石などの発症率が上昇する」ということだ。いったい、なんのために飲んでいるのか……。
ただし、研究報告の中では「カルシウムサプリメントを摂取することで骨密度が上昇した」という報告も少なからず存在する。そのため、この結果で、上記のようなエビデンスが立証されたわけではなく、今後さらなる研究が必要であることを付け加えておく。
いずれにせよ、お金を払ってサプリメントを摂取しても、効果がないかわずかばかりだ。さらに心臓や腎臓などの病気にかかる可能性が高くなってしまうことは頭にいれておいたほうがよいだろう。
骨折を防ぐには、ほどよく運動することが重要だ。たとえばビタミンDは、日光を浴びることで生産できる。サプリメントに頼らず、毎日、外出して日光を浴びて30分でもいい、散歩することが骨折を防ぐ地道な方法かもしれない。
(文=三木貴弘)
●参考文献
Bolland MJ, Leung W, Tai V, Bastin S, Gamble GD, Grey A, et al. Calcium intake and risk of fracture: systematic review. BMJ. 2015 Sep;351:h4580.