骨折予防に「カルシウム」「ビタミンD」のサプリは効果なし?(depositphotos.com)
「いつの間にか骨折」という言葉を聴いたことがあるだろうか? 知らぬ間に骨折をしていることを指すが、その原因は「骨のもろさ」が原因。いわゆる「骨粗鬆症」である。
骨粗鬆症は高齢者、なかでも「閉経後の女性」に多いとされている。しかし最近では高齢者だけでなく、「若い人の骨がもろくなってきている」という報告もある。そのため、骨を強くし、骨折を予防しようと、多くの人が関心を持っている。
骨を強くするには「骨密度を高くする」必要がある。それに有効な栄養が、特にカルシウム(Ca)やビタミンDだ。骨を強くする栄養素として、多くのサプリメントも販売されている。読者の中でも、サプリメントを定期的に飲んでいる方もいるかもしれない。
しかしながら、そのサプリメントについて残念な報告が届いた。
カルシウムとビタミンDのサプリに効果なし
最近、雑誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に「Calcium intake and risk of fracture(カルシウム摂取と骨折のリスク)」という論文が発表された。それによると「サプリメントによるカルシウム摂取は、骨折予防に効果的とはいえない」という。
また、アメリカの予防医学委員会では2013年、「骨折予防のために、サプリメントを含むカルシウムとビタミンDを摂取すること」を推奨していた。
ところが最近になって、「ビタミンDおよびカルシウムサプリの単独、あるいは併用摂取を推奨するためのエビデンスは十分でない」との見解を示し、サプリメントの推奨を訂正した。
これは、ビタミンDとカルシウムを、それぞれ1日に400UI(1000mg)を数年間、摂取し続けた結果、飲んでいないグループを比べても有意差(統計学的に差がでること)がなかったという研究報告を受けての修正だった。
さらに残念なことに、サプリメントは骨折を予防する効果がないばかりか、摂取し続けることで副作用の危険性もはらむ。