自覚のない眠気で自動車事故! 気づかない睡眠時無呼吸や寝不足がもたらす事故リスク

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眠気を感じなくても油断は厳禁

 今回の解析結果によれば、理想を満たしている「7~8時間睡眠の人」の場合と比べると、「6時間睡眠の人」の場合の自動車事故リスクは、33%上昇との数値が示された。

 さらに注目すべきは、睡眠時無呼吸や睡眠不足による自動車事故リスクと同様の上昇傾向が、「過度の眠気を感じない人」においても認められた点である。

 Gottlieb氏が指摘する「十分な睡眠を取っていないと、思考力の低下を招き、反応が遅くなるために、事故リスクが高まる」という問題点は、一般ドライバーでも容易に理解できるだろう。

 しかし、今回の研究報告には、下記のような示唆も綴られている。

①睡眠時無呼吸が「軽症の人」の場合、眠気を自覚している人のほうが事故リスクは高い。

②「重症の人」の事故リスクは睡眠時無呼吸ではない人の2倍以上だっただけではなく、「眠気の自覚の有無」でリスク差は認められなかった。

 この点についてはGottlieb氏は、「最も重要なのは、眠気を自覚していない人でも自動車事故リスクはアップするという点だと考えている」としている。

睡眠不足の米国民は約8400万人!

 研究陣の把握では米国内男性の3人に1人、女性の6人中1人に、睡眠時無呼吸が認められるそうだ。一方、睡眠不足問題に関しては米国成人の25~30%が「6時間以下」だとか。

 今回の研究結果を読んで、「そう、居眠り運転は深刻な問題でありながら、あまり注目されていないのが現状だ」との指摘コメントを寄せたのは州知事幹線道路安全協会(GHSA)のKara Macek氏だ。

 Macek氏は「睡眠不足の米国民は約8400万人いる」(2016年調べ)との具体的な数字を挙げながら、このような警告を鳴らした。

 「たとえばヒトの場合、21時間眠らずに過ごすと血中アルコール濃度が0.08%の状態になる。要は飲酒運転の基準値と同程度の意識状態になるわけだ。にもかかわらず現実はどうか? 居眠り運転は飲酒運転ほど問題視されていない」

 そして、「十分な質の高い睡眠を取ることの価値をより重視する文化に変えていかないとダメなんだ」とManek氏は強調する。

 フレッシュマン諸君の理想的睡眠時間(+1時間)が4年程度で激変するとは思えない。入社後初の息抜きとなるGWが終われば、いわゆる「五月病」が待っている事情も変わらないだろう。であるならば、このGWこそ睡眠時間変革期としてみるのはいかがだろう。
(文=編集部)

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