ホットヨガは無意味なのか?
この論文だけをみると、ホットヨガ支持者には残念な結果かもしれない。だが、たくさん汗をかくことは、血管機能の向上以外での効果がある。
たとえば、発汗によって汗腺を刺激され、カラダが汗をかきやすくなり、新陳代謝の促進や体温調節機能の強化につながる。何より、汗をかくことは爽快だ。気分がすっきりする――とても大切なことだ。
私たちは「健康のために、このような効果があるから」と計算し尽くして選んで運動するわけではない。最終的には「やりたい」というモチベーションが、運動を長続きさせる理由のひとつになるはずだ。
今回の研究では、血管機能の面からは通常ヨガと効果はあまり変わらないことが報告された。しかし、「汗をかく」「気持ちが良い」という面にも目を転じてみてはどうだろう。大切なのは、多角的に評価して複合的に考えることだ。
「血管を鍛えるためにホットヨガをやりたい」という人には、「普通のヨガでも効果はあまり変わらないよ」と助言できる。だが、「健康や美容のためにホットヨガ」ならオススメだ。カラダを動かすほうが、間違いなく健康的だ。
トレンドや気分、人付き合い、ファッション……動機はどうであれ、「運動は副作用のない薬」なのだから。
(文=三木貴弘)
参考文献
Hunter SD, Laosiripisan J, Elmenshawy A, Tanaka H. Effects of yoga interventions practised in heated and thermoneutral conditions on endothelium-dependent vasodilatation: The Bikram yoga heart study. Exp Physiol [Internet]. 2018 Feb 4 [cited 2018 Feb 21]; Available from: http://doi.wiley.com/10.1113/EP086725
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/EP086725/full