白髪を抜くと増えるのは本当?(GettyImagesより)
白髪は誰にでも出現するものですが、最初の1本を見つけたときにショックを受けた人は多いのではないでしょうか。その後、チラホラ白髪に移行すると、白髪を抜いてみたり、染めてみたりと試行錯誤が続くものです。
増える白髪に対する不安はもちろんですが、それに伴い「白髪ってなんで目立つの?」「予防策はないの?」など、白髪に対する疑問も年々増えていませんか?
今回は、白髪に対する疑問や悩みを解消していきましょう!
白髪は抜くと増える?
結論から言うと、白髪は抜いても増えません。抜いてしまえば、その白髪は一時的に‟なかったこと”になります。しかし、そこから生える毛髪は黒くなりませんし、再び白髪が生え出すと根元から立ち上がり、より目立ってしまうこともあります。
また、ひとつの毛穴からは2~3本の毛が生えています。その中の1本を抜くと、残りの毛が衝撃を受け、抜けやすくなることもあります。さらに、抜き続けると毛が細くなり、最終的には毛根が死んでしまいます。
どうしても気になる場合は、抜くのではなくハサミでカットするのがよいでしょう。自分で行うのが難しい場合は、ヘアサロンに行った際、担当美容師さんにカットしてもらうと安心です。
白髪のうねりを改善する方法はある?
加齢による白髪は、髪内部に存在する「メラニン色素」が、何らかの原因で消失する現象です。そのため、本来メラニンのあった部分には隙間ができてしまいます。このように空洞化した毛髪はとても乾燥しやすく、うねりやクセが出やすいのが特徴。そのため、ハリのある黒髪の毛と馴染みにくく、うねりが悪目立ちしてしまうのです。
少しでもうねりを解消したいなら、補修成分に優れたトリートメントで髪内部を強化し、アウトバスオイルなどでキューティクルを整えてみましょう。
白髪を減らすことはできる?
加齢による白髪は、色素細胞がメラニンを生産できなくなるためと考えられています。そのため、「一度白髪になった毛髪は、黒色に戻すことはできない」というのが一般的な見解です。
しかし、最近では、多くのメーカーが白髪への効果が期待されるシャンプーを開発、販売しています。その中には、メラニンを生成する「メラノサイト」を活性化する効果が期待できるものや、白髪対策に有効とされる成分「ヘマチン」を配合した商品があります。
白髪はいまだ解明されていないことが多く、研究が途上の分野。だからこそ、新たなエビデンスが、これから多く登場することが期待されています。それらの成果を踏まえた、白髪に特化したシャンプー剤などを取り入れてみるのもよいでしょう。
髪の分け目ばかりに白髪が生えるのはなぜ?
頭皮が露わになる“分け目”は、紫外線が最も当たりやすい部分です。紫外線「UV-A」は、頭皮の真皮層まで届くため、ここにあるメラノサイトがダメージを受け、メラニンが作れない、または作られにくい状態となり、それが白髪となって現れます。
また、「UV-B」も浴び続ければ、頭皮を乾燥させて毛根の働きを弱めてしまいます。じゅうぶんに注意が必要です。日傘や帽子、髪用のUVスプレーを使用することが予防になります。たまにはヘアスタイルでの分け目を変えてみることもお勧めします。
白髪の発生量を遅らせる方法はある?
白髪の発生を遅らせるには、髪の発育によい生活が第一。基本的な生活のリズムを整えてください。特にポイントとなるのは、次の3つです。
① 食事バランスを整える
② 睡眠をしっかりとる
③ 血行をよくする
食事に関しては、髪の主成分であるタンパク質をしっかり摂取し、メラニン生成をサポートするミネラルやビタミンを毎日の食生活に取り入れること。さらにヨード、チロシン、銅なども、白髪予防によいといわれています。
食品から摂取するのが理想的ですが、白髪予防のサプリメントを活用するのもひとつの方法です。
睡眠と血行は関係性が深く、睡眠時間が少ないと成長ホルモンの分泌を妨げ、健康的な毛髪が作られなくなります。また、血流も悪くなり、頭皮まで必要な栄養が行き渡らず、メラノサイトの働きが低下してしまい、結果的に白髪の発生につながります。
ですから、軽い運動を毎日取り入れ、規則正しい生活を送り、血流アップに努めることが大切。頭皮マッサージも血行を促進します。お風呂上りなどに、取り入れてみましょう。
年齢を重ねるにつれ、髪の悩みは尽きないものですが、身体のほかのパーツと同じように、生活習慣を見直し健康的な生活を心がけることで、白髪の進行を緩やかにすることは可能です。白髪の特性に応じた効果的な対処を施して、健康的な髪をキープしたいものです。
(文=小澤佐知子)
小澤佐知子(おざわ さちこ)
美容ライター。小学館や学研で外部編集者を経験した後、出産を機にフリーランスに転身。以後、美容ライターとして計50誌以上で取材・執筆を行う。
現在はヘアケア・ヘアデザインなど「髪」に関する記事の企画・構成・取材を中心に活動。雑誌や書籍以外にWebサイトでコラムやインタビューの連載を持つ。東京都内のヘアサロンの「ビジュアル監修アドバイザー」として非常勤役員も務める。