「完璧主義」のミレニアル世代の若者の中には精神を病んでしまう人も(depositphotos.com)
2000年代に成人ないし「社会人になる/なった」、いわゆる「ミレニアル世代(millennial generation)」の学生たちは、一世代前の学生に比べて「完璧主義者である」割合が際立って高い――。
英バース大学のDhomas Curran氏らによる、そんな調査研究の報告が『Psychological Bulletin』(2017年12月28日オンライン版)に掲載され、耳目を集めている。
彼らは「ミレニアルズ(millennials)」とも「y世代」とも呼ばれ、インターネット普及の環境下で育っち、情報リテラシーにも優れた最初の世代であることから<デジタルネイティブ>とも総称されてきた。
一方、幼い時期から一度ならぬ金融危機や格差の広がり、深刻な気候変動問題などの厳しい情勢にさらされて育ち、競争社会の波をもろに浴びてきた世代であるゆえに、価値観/経済感覚/職業観/人生観も、前世代とはかなり違っている。
ちなみに世代幅の定義では、ミレニアル世代を「1980〜2004年頃の生まれ」とするものや「2000年代の初頭に成年期を迎えた層」など諸説あるが、前出のCurran氏らの論文上では「1980年代半ば以降に生まれ2000年以降に成人になった世代」と定義している。
要するに日本でいう「ゆとり教育世代」(1987年4月2日~2004年4月1日生まれ)が、その中心に位置している。
「完全主義者」の3つのタイプ
今回の研究は、米国とカナダ、英国の大学生たち4万1641人を対象とし、多面的要素から構成された「完全主義」の評価項目の質問票に答えるかたちで分析が実施された。
心理学の世界では、常に高水準を求め、自他共に批判的になりやすい傾向の「完全主義者」には3つのタイプが存在するとされている。
①自己志向型:文字どおり、自己に高水準を求め、完璧であろうと努力する
②社会規定型:自己の完璧さが他者(社会)にとって重要であると考えて努力する
③他者指向型:期待に応えられない他者を見下し、容赦ない批判を行なう暗黒系
Curran氏らの評価集もこの3タイプに則って構成され、4万超のデータが分析された。
その結果、1989~2016年の期間中、いずれのタイプでも「完全主義者」の割合が上昇傾向にあることが判明した。その内訳は「①自己志向型:10%↑」「②社会規定型:33%↑」「③他者指向型:16%↑」だった。