赤肉の食べ過ぎで糖尿病は本当か?(depositphotos.com)
近年、糖尿病の予防・改善方法として一般にも認知されてきた「糖質制限食」。毎日の食事で米飯や麺類、パンなどの糖質の摂取を最小限にして、食後血糖値の上昇を防ぐというもので、アメリカの糖尿病学会で2013年から正式に認められた食事療法だ。
糖質を制限する一方で、肉、魚、豆製品、チーズなどのタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べることを推奨。理にかなっているだけでなく、これまで提唱されてきた「カロリー制限食」よりもずっと無理なく続けられる。
そうした理由から、糖尿病患者だけでなく肥満やメタボリックシンドロームの改善や、健康志向の人のダイエット法としても定着した。
しかし、タンパク質をたっぷり摂っていいといっても、「肉の食べ過ぎ」には気をつけたほうがいいらしい――。今年の8月22日、<赤肉と家禽類(鶏、ガチョウ、アヒルなど)の摂取が、2型糖尿病のリスクを高める>という研究結果が『American Journal of Epidemiology』(オンライン版)に掲載された。
ちなみに「赤肉=red meat」はタンパク質と脂質のこと。日本語でいう「赤身肉=lean meat」は脂肪の少ない肉、タンパク質のことである。
赤肉で糖尿病の発症リスクがアップ?
この結果を発表したのは、デューク・シンガポール国立大学医学部のKoh Woon Puay教授らだ。今回、研究グループは、「シンガポール中国人健康研究」の参加者で45~74歳の6万3257名を対象に、11年間にわたる追跡調査を行った。
まず食事内容を165項目のアンケートを用いて評価。さらに1999~2004年、および2006~2010年に実施されたフォローアップ・インタビューで、2型糖尿病に関する自己申告が行われた。その結果、平均9.9年間の追跡期間中に、5207例の2型糖尿病罹患が報告された。
それらを分析した結果、赤肉や家禽肉の摂取量と、糖尿病の発症リスクには、統計的に有意な関連があることが明らかになった。「摂取量が最も少なかった群」と「最も多かった群(1日当たり1皿)」を比較すると、赤肉では23%、家禽肉では15%、糖尿病の発症リスクが高くなったという。
一方、魚介類の摂取と糖尿病発症との関連はみられなかったという。