人工知能やバイオマーカーにPETなどの活用で新時代
今回の研究結果を踏まえ、研究グループは「マンモグラフィの画像と病理標本のデータを機械学習モデルに組み込み、最終的には臨床に取り入れたい」との考えを示している。また、Bahl氏は「機械学習は、不要な手術を減らす点でも、患者に多くの情報を与えるという点でも、治療の向上に役立つツールである」と話している。
一方、米ノーザン・ウェストチェスター病院のBonnie Litvack氏は全ての女性に対して「がんリスクの低い病変の特定に役立つ機械学習の存在を知っておくべきである」と呼び掛けるとともに、「女性に多くのデータを提供し、意思決定を共有するのに役立つ人工知能は楽しみな研究分野である」と付け加えている。
この研究はマンモグラフィ検査と生検のデータを元に人工知能が「高リスク病変」ががん化するかどうかの判定を判定するというものだが、最近の乳がん検査では、乳房超音波検査も行われるようになっている。
マンモグラフィは石灰化を作るがんに対して有効性が高く、乳房超音波検査はしこりを作るがんに対して有効だといわれる。さらに40歳未満では乳房超音波検査を、40歳代になったらマンモグラフィと乳房超音波検査を毎年交互に、50歳以降では年に一度マンモグラフィと乳房超音波検査の両方をと推奨する専門医もいる。
さらに検査や治療でも大きな進歩が見られる。
手術が不要な乳がんを判定するマーカー遺伝子の発見と臨床研究が進み、検査では乳房専用PET(陽電子放射断層撮影)装置が登場し、うつぶせのまま痛みがなく検査ができるようになった。『10月1日から乳がん月間! 検診と治療の新時代の幕開けか?患者の5%が手術不要に!』
将来的にはこうした乳房超音波検査、乳房専用PET、マンモグラフィ検査と生検など複合的なデータを解析するAIが登場し、乳がんの検査と治療は大きく変わっていきそうだ。
(文=編集部)