夜勤労働者に数々の健康リスク「腹部肥満」は1.35倍!閉経後の女性はがん発症率も高くなる

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
夜勤労働者に数々の健康リスク!「腹部肥満」は1.35倍!閉経後の女性は「がん発症率」も高くなるの画像1

夜勤労働者に数々の健康リスク(depositphotos.com)

 香港中文大学(Chinese University ofHong Kong)公衆衛生・プライマリケア学部のM. Sun氏らの研究チームは、夜勤で働く人は太りやすく、特に「腹部肥満」になりやすい可能性があるとする研究成果を『Obesity Reviews』10月4日オンライン版に発表した(「HealthDay New」2017年10月4日)

 夜勤労働者は世界中で700万人に上り、世界の労働人口の20%に当たると推定されている。また、腹部肥満は「心臓病」や「糖尿病」「脳卒中」のリスクを高めることから、公衆衛生上、極めて重要な病態だ。

 Sun氏らはまず、2017年3月までに公表されたシフト勤務パターンと肥満との関連を調べた観察研究を抽出。1999~2016年に行われた基準を満たす28件の研究を対象にメタ解析を行った。

 その結果、夜勤労働者は全体的に肥満や過体重になるリスクが1.23倍高く、肥満の中でも腹部肥満になるリスクが1.35倍高かった。さらに、長期間にわたり夜勤だけで働き続けると、ローテーションで夜勤する場合に比べて肥満になるスクが29%高かった。

 この研究は夜勤と肥満の因果関係を証明するものではないが、専門家の一人、米ワシントン大学セントルイス校のConnie Diekman氏は「夜勤による睡眠の妨げが主な原因であることに疑問の余地はない。人間の身体は食欲に関係するホルモンをリセットするため、夜になると眠るようにプログラムされている。そのため、眠るべき時に眠らなければ、ホルモンのバランスが崩れるため、必要以上に食べてしまい、肥満につながる」と説明する。

 また、別の調査によると、夜勤に合わせて睡眠スケジュールを調整している人は全体の3%に満たないので、多くの人は十分な睡眠時間を確保できていない可能性がある。

 米ペンシルベニア州立大学教授のPenny Kris-Etherton氏も、夜勤は人間に従来備わっている概日リズムに影響を及ぼすことから「できる限り睡眠不足は避けることが大切だ」と述べる。そして、夜勤労働者は身体に良い食品を食べたり、運動する機会が減りがちになるため、バランスの取れた弁当や間食を職場に持参するよう勧めている。

腹部肥満で「閉経後女性の発がんリスク」が高まる

  腹部肥満のリスクは、まだある。

 Nordic Bioscience and ProScion(デンマーク)のLine Mærsk Staunstrup氏らの研究チームは、腹部肥満が閉経後女性の「がん発症のリスク因子」になり得るとする研究結果を、2017年9月8~12日にスペイン・マドリッドで開かれた「欧州臨床腫瘍学会(ESMO)」で発表した(「HealthDayNews」2017年9月12日)。

 発表によると、Staunstrup氏らはデンマークの閉経後女性5855人(平均年齢71歳)を対象に、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)法によって体脂肪や体組成を測定し、12年間追跡した。

 その結果、閉経後の女性の「肺がん」や「消化器がん」のリスク因子として、体重やBMI、体脂肪率ではなく「腹部肥満」が重要であることが判明。一方、BMIと体脂肪率はいずれも有意ながんのリスク因子ではないことも確認できた。

 Staunstrup氏は「閉経を迎えた女性は、体重管理、特に腹部肥満の予防ががんリスクの低減に肝要。生活習慣に気を配り、余分な脂肪を身体に溜め込まないように気をつけるべきだ」と警告する。

 また、ガリレア病院(イタリア)の腫瘍医学部長のAndrea De Censi氏は「一部のがんの発症に肥満、中でもインスリン抵抗性が深く関与し、インスリン抵抗性は、特に内臓脂肪や腹部脂肪の過剰な蓄積につながる」と強調する。そして「インスリンはホルモンの分泌にも悪影響を及ぼし、脂肪が過剰に蓄積すると全身で慢性炎症が引き起こされるため、がん発症のリスクが強まる。インスリンの影響を低減させるメトホルミンなどの糖尿病治療薬が、がんを予防する可能性もある」と説明する。

インソールで体調が改善、疲れにくく生活が楽になる!運動も楽しめる!
インタビュー「インソールで健康増進&機能アップ」第1回 日本フットケアサービス㈱代表取締役社長 大平吉夫

インソール(靴の中敷き)については、足のニオイ消しや靴のサイズ調整などでこれまでに使った経験がある人は多いだろう。「靴の中に入れるものはすべてインソールなのですが、目的や役割で分類できるんです」と教えてくれるのは、義肢装具士の大平吉夫さん。人の目にさらされる機会がほとんどない、地味な存在のインソールだが、実に多様な機能を発揮しているようだ。大平さんにインソールについて詳しく聞いてみた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立…

一杉正仁