夫婦円満の秘訣は? 子持ちの既婚男女1000名の回答から「現代の夫婦像」を読み解く

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夫が家事や育児に関わったほうが円満度が高まる

 一方で他の項目を見ると、そうした傾向に満足していない妻の心理が垣間見えてくる。

 「現在、自分たち夫婦が上手く助け合えていると思うことの戸数」は、「助け合えている」と答えた夫婦では平均8.0個、「助け合えていない」と答えた夫婦は3.2個であった。これは、家計を支えるだけでなく、夫が家事や育児に関わったほうが円満度が高まるという結果を示しているのではないだろうか。

 夫婦が円満である秘けつは実際の助け合い以外の要素も大きい。

 「配偶者から、どのようなことを言われると、夫婦で助け合うことをやめたくなるか」という項目には、「こっちは頑張ってるんだけど!」が29.4%、「やって当然だよね」が27.7%、「そんなこともできないの」が25.6%、「やればいいんでしょ?」が24.6%、「疲れてるんだけど」が23.5%などという言葉が並んだ。

 その一方で、「配偶者から、どのようなことを言われると、夫婦で助け合っていきたいと思うか」のランキングには、「ありがとう」が49.4%、「やってもらえて助かった」が33.5%、「結婚して良かった」が26.2%、「いつもやってくれてるから今日はやるよ」と「あなたがいてくれて良かった」が25.9%という言葉が上位に来た。

 この結果から、相手への感謝を言葉で伝えることがいかに必要なことなのかということがわかってくる。言葉に出して伝えることで相手は自らの行為が報われたと感じたり、自らの欠点を反省したりするということだ。

結局、夫婦円満のキモは何?

 家事や子育て、家計を分担して行う夫婦という共同体。その役割を分担して行うということは喜びだけでなく、悲しみや辛さといったことも共有していくということである。不貞などの要因がない限り、夫婦関係においてどちらが悪いということは考えにくい。しっかりとコミュニケーションをとって、課題を共有し、乗り越えていくことこそが夫婦円満のキモなのではないだろうか。

 私事で恐縮だが、筆者は3年半前に離婚している。相手を思いやり、苦労を共有し、コミュニケーションを何より大事にする――。こうしたことがいかに大事なのかということは、自分自身が出来ていなかったことだけに痛いほどよく分かる。これらのことがマメに出来ていれば、筆者自身、離婚しなかったのではないかと思うのだ。

 結婚し子育てをしている方には、ぜひこのアンケート結果をじっくり読んで、夫婦の助け合いやコミュニケーションがいかに大事なのかということをぜひ、噛みしめて欲しい。離婚経験のある人は、この結果を読んで当時のことを振り返ってみることをおすすめしたい。

 拙著『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』は私が離婚後に作ったインタビュー集である。対象者は、私同様に子供と別れて暮らしている父親たちである。彼らの置かれた厳しい状況を浮き彫りしてみた。興味のある読者はぜひ手に取って欲しい。
(文=西牟田靖)

西牟田靖(にしむた・やすし)
ノンフィクション作家。1970年大阪生まれ。神戸学院大学法学部卒。日本の領土問題や、戦後の植民地・戦地からの引揚問題など、硬派なテーマを取材執筆。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『本で床は抜けるのか』『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』など。

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