オーラルセックスで「頸部がん」に!? 米国で早期診断・治療のガイドライン誕生

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オーラルセックスが「頸部がん」の原因に!?(depositphotos.com)

 オーラルセックス(口腔性交)が一般的になってきていることが増加の一因かもしれない。その可能性は否めない――。

 いきなり衝撃的な結論から記したが、これはヒトパピローマウイルス(HPV)陽性の「頭頚部がん」の増加に関する米国がん協会 (American Cancer Society ; ACS)の公式見解である。

 順を追って説明しよう――。

セックスでがんがうつる理由

 頚部腫瘤(けいぶしゅりゅう)とは読んで字の如し、「頸部(首)」に形成される「腫瘤」で、リンパ節腫や甲状腺腫、神経起源の腫瘤や粉瘤、先天性頸嚢胞などがある。

 また、こうしたしこりが成人の首に出来ることは決して珍しくはない。とりわけ「高齢者」に好発するのが一般的と従来は考えられてきた。

 しかし、近年の米国内では、前掲のヒトパピローマウイルス(HPV)感染に起因した「頭頚部がん」が増加傾向にあり、「若い世代層」にも件の頸部腫瘤がみられる度合いを増してきているようだ。

 ちなみに「パピローマ」とは「イボ」の意味で、性器周辺や肛門にできるイボの場合、ある特定型のHPVへの感染が原因となり、女性では子宮がん、男性では陰茎がんの恐れがあるの注意したい。

 そんな男女事情の詳細を知りたい方には過去記事「セックスでがんが伝染する? オーラルセックスでも感染するがんとは?(http://healthpress.jp/2014/11/post-1297.html)」をお薦めしたい。

オーラルセックスが市民権を得てがんが増えた!?

 さて、頸部腫瘤の原因については諸説(細菌やウイルスの感染、良性および悪性の腫瘍など)があるが、その特定が難儀である場合も少なくない。

 そこでこのたび米国耳鼻咽喉科・頭頚部外科学会(AAO-HNSF)が総力をあげて、成人の頸部腫瘤に対する適切な検査方法や診断術を示す、待望の医師向けガイドラインをまとめた。

 同ガイドラインの利用対象は、頭部腫瘤を最初に診る可能性の高いプライマリ・ケア医(総合診療医)や歯科医、救急医や病理医、放射線科医などの総ての医師としている。

 というのも、HPV陽性の頭頸部がん(中咽頭がん)は今後もますます増加、若年化すると予測されており、2020年までには数において(同じくHPV陽性の)子宮頸がん患者数を上回るとみられているためだ。

 その増加原因もこれまた特定はされていないものの、前掲のとおり、米国がん協会は正面切って<オーラルセックスが市民権を得た可能性が否めない>との見解を示したのだ。

 話題のガイドラインは、9月10日~13日にシカゴで開催されたAAO-HNSFの年次集会で発表されたが、頸部腫瘤が「がん」である可能性を示す特徴としては下記のような点をあげている。

 ■2~3週間以上に渡って消失しない
 ■徐々に大きくなっており、あるいは小さくなってはいるものの完全には消失しない
 ■声の調子に変化がみられる
 ■食べものを呑み込みにくく、呑み込めても痛みを感じる
 ■腫瘤がみられる側の耳が聞こえづらく、痛みも感じる
 ■首や喉の痛みを感じる
 ■発熱
 ■説明のつかない体重減少がみられる

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