がん予防のワクチン接種、セックスでがんが伝染(うつ)るって本当!?

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中咽頭がんは喫煙、飲酒よりものリスクが高い

 年間の死亡者数が3000人にも上る子宮頸がん。日本では、2013年から予防のために定期的なワクチン接種が呼びかけられていた(小学6年~高校1年生)。

 しかし、全身の強い痛みなどの副作用問題が起きたため、現在のところ「積極的な接種の呼びかけ」を中止。いまも、副作用に関しての評価が分かれるため、ワクチン接種の是非はなかなか結論が出せていない状態だ。最近も某週刊誌で、がんは放置しろと言い続けている近藤誠医師が、子宮がん検診は意味がなく治療も金儲けだと主張。関係者や関係する医学学会などから抗議の声が挙がっている。

 ワクチンというのは、感染症への抗体を作るために接種するのだが、どうしてワクチンによって子宮頸がんの予防できるのだろう。そもそも、「がんは感染症ではないのでは?」 そういう疑問を持つ人も多いのではないだろうか。

 子宮頸がんというのは、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の子宮頸部への感染によって発生することが分かっている。そして、このHPVというのは、10~20代の女性の4割、30~50代の女性の2割から検出されるほど、ありふれた感染症なのである。

 ほとんどの人が体内の免疫によってウイルスを消失させてしまうのだが、一部の人だけが持続感染となり、細胞組織が変異していき、やがて子宮頸がんになると考えられている。持続感染者がどういう原因で発症に至るのかは、まだ解明されていない。

 このHPVの感染原因は、性交による場合がほとんどである。そのため、男性にも感染するのだが、男性器での細胞組織の変異はみられないとされている。ならば、男性はHPVの危険には縁がないのかというと、そういうわけではないのだ。

●オーラルセックスで感染するがん

 過去にも、著名な男性音楽家が「中咽頭がん」にかかったことを公表したことがニュースになった。中咽頭がんは、口から食道へ至る途中ののどの奥に発症する。長期間の喫煙、過度の飲酒でリスクが高まるといわれているが、実はもっと大きな原因とされているのがHPVなのである(6割がHPV陽性)。

 扁桃腺などの中咽頭の粘膜は、子宮頸部によく似ているため、HPVに感染しやすくなる。 ということは、これも性行為によるのだろうか? そう、いわゆるオーラルセックスを通して感染すると考えられているのだ。当然、オーラルセックスの経験やパートナー数が多い人ほど、中咽頭がんの危険性も高くなる。オーラルセックスの経験がない人に比べて、1~5人のセックスパートナーがいた人ではHPV陽性の中咽頭がんの危険性は3.8倍、6人以上だと8.6倍になるといわれている。

 あるいは、中咽頭がんだけではない。男女ともに、HPV陽性での肛門がんも増えているのだ。これも肛門の粘膜へのHPV感染が原因と考えられている。

 そうなると、子宮頸がんについて紹介されているような、たとえば性交時のコンドーム使用や不特定多数の相手との性行為は避ける、定期検診を受けるといった予防法はそのまま中咽頭がんにも当てはまるだろう。実際に、子宮頸がんワクチンを男性に接種させることをスタートした国もある。

 日本で中止されているのは、あくまでワクチン接種への呼びかけだ。接種そのものは今も行なわれている。女性だけでなく、男性もまた、ワクチンの安全性について詳細な説明を受け、自ら接種について判断することも必要かもしれない。
(文=編集部)

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