エイズは発症を抑え込む時代から感染しない時代へ 抗体併用法~サルで100%の予防効果

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2つの研究で極めて高い感染予防効果

 このうち米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのDan Barouch氏が率いた研究では、2種類の広域中和抗体(PGT121とPGDM1400)をサルに注射した後、2種類のHIV株に曝露させる実験を実施した。その結果、いずれか一方の抗体のみを注射したサルはHIVに感染したが、2種類の抗体を併用したサルはいずれのHIV株にも感染せず、100%の予防効果が示されたという。この研究結果は「Science Translational Medicine」9月20日号に掲載された。

 もう1件の研究はSanofi社のGary Nabel氏らが米国立衛生研究所(NIH)の研究者らと共同で実施したもので、「Science」9月20日号に掲載された。この研究では、3つの広域中和抗体(VRC01、PGDM1400、10E8v4)の機能をあわせ持つ単一の抗体を遺伝子組み換え技術を用いて作製。これを注射したサル8頭と、VRC01またはPGDM1400のいずれかを単独で注射したサル(それぞれ8頭)をHIVに曝露させた。

 その結果、3つの抗体の機能を持つ新たな抗体を投与した群では感染例はなかったが、VRC01投与群では6頭が、PGDM1400 投与群では5頭が感染した。

 Nabel氏は「抗体を傘に例えると、ウイルスはその傘に穴を開ける方法を見つけて耐性を獲得するため、その下に2層目、3層目を作り、ウイルスが傘を突破できないようにした。この3通りに働くワクチンを接種したサルは、完全に感染から防御することができた」と説明している。

 なお、HIV感染予防のためにはこれらの抗体を数週間ごとに投与する必要がある。そのため、Barouch氏らは現在、効果を数カ月間持続させるために抗体の“寿命”を延ばす研究を進めているという。また、いずれの研究チームもヒトを対象とした臨床試験の実施を予定していることを明らかにしている。
(文=編集部)

がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 費用は卵巣摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真