シリーズ「AIと医療イノベーション」第20回

AIとIoTの情報支援コラボレーションで「周産期の妊産婦」を見守る実証実験がスタート

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AIとIoTの情報支援コラボレーションで「周産期の妊産婦」を見守る実証実験がスタート(depositphotos.com)

 AI(人工知能)とIot(モノのインターネット)のコラボレーションのもたらす衝撃は驚異的だ。ベテランの医師、医療スタッフらでさえ瞠目するようなイノベーションの衝撃波が「まほろばの古都」奈良で起きている。

 9月13日、奈良県立医科大学と富士通は、AIやIoTを活用し、周産期の妊産婦の生活状況や健康状態を見守るサービスの実証実験を始めると発表した(「ITmediaエンタープライズ」2017年9月14日)。

 発表によると、奈良県立医科大学と富士通は、この8月に医学を基礎とする街づくりをめざす「MBTコンソーシアム」(奈良県橿原市)に参画し、妊産婦や子育て世代の見守りを支援する「周産期・育児サポート部会」を旗揚げした。

 実証実験は、奈良県立医科大学付属病院に通院している周産期の妊産婦約30人を対象に、コールセンターによる24時間365日の電話健康相談を10月1日から来年1月31日まで実施し、妊産婦へ2週間に1度電話をかけて健康状態などを確認するための「お元気コール」などを予定している。

 この電話健康相談では、看護師が24時間365日常駐する富士通グループのコールセンターと奈良県立医科大学が連携し、妊産婦からの健康相談の一次対応や定期的な健康状態の確認などを行う。

 その後、妊産婦、医師、医療スタッフなどからのフィードバックや対応履歴から、妊産婦や子育て世代を総合的にサポートするサービスの有用性や事業性を検証しながら、妊産婦の血圧や体重などのデータと連携したIoTによる見守りサービスの提供や、健康相談へのAI活用などの開発を進める。

 富士通は、実証実験での知見を反映させた妊産婦に対するクラウドを活用したICT(情報通信技術)サービスを開発する計画だ。

周産期は合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など異常事態が発生しやすい

 このような「周産期医療」への産学連携が強まっているのはなぜだろう?

 周産期は、出産前後の期間だが、世界保健機関 (WHO)の国際統計分類(ICD-10)によれば、妊娠22週から出生後7日未満だ。周産期は、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体や胎児・新生児の生命に関わる異常事態が発生しやすいため、突発的な緊急事態に備える必要がある。

 つまり、妊娠、出産から新生児期に至るまでを総合的に管理し、母子の健康と安全を守るため産科医、小児科医、医療スタッフが連携して対応するのが「周産期医療」だ。

 最近、救急車で搬送される妊婦の受け入れ拒否による死亡事件が相次いだことから、周産期医療の重要性が強く認識されている。

 厚労省(平成 26 年人口動態統計)によれば、周産期死亡者は3750人、周産期死亡率(1年間の1000出産に対する妊娠満22週以後の死産と早期新生児死亡の比率)は3.7%だ。そのため、1996年4月、厚生省(当時)は周産期医療対策整備事業を開始し、人口100万人に1カ所の「総合周産期母子医療センター」と「地域周産期母子医療センター」の設立をめざしてきた。

 「総合周産期母子医療センター」は、MFICU(母体胎児集中治療室)を6床以上、NICU(新生児集中治療室)を9床以上、母体・胎児集中治療管理室を含む産科病棟、新生児集中治療管理室を含む新生児病棟を備えた医療施設だ。常に母体・新生児の搬送受入体制を保持しているので、合併症妊娠、重症妊娠中毒症、切迫早産、胎児異常など、リスクの高い妊娠に対する医療、高度な新生児医療を行える。

 一方、「総合周産期母子医療センター」に準じて、産科・小児科(新生児)を備え、周産期に関わる高度な医療行為を常時担う医療施設が「地域周産期母子医療センター」だ。

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