コーヒーのフェインが死亡リスクを低下(depositphotos.com)
今年に入って、たびたびニュースに取り上げられている「カフェイン中毒」――。
日本中毒学会の調査によると、カフェインを多量に含む「眠気防止薬」や「清涼飲料水」の急性中毒で、平成23年度からの5年間に、少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止となり、その中の3人が死亡した。救急搬送された人の中には、眠気防止薬をコーヒーと一緒に飲んだ例もあったという。
こうしたニュースが流れると、「コーヒーは体によくない」というイメージが強まりそうで、コーヒー党の筆者としては悲しい。
コーヒーはカフェインを豊富に含む飲み物の代表だが、健康を害すると判断するのは早計だ。「コーヒーの摂取量が多いと総死亡率が低い」という調査結果も発表されている。では、コーヒーをおいしく飲んで、健康長寿に役立てる方法を紹介しよう。
コーヒーを飲む量が多い人は死亡率が低いと大規模調査で判明
コーヒーの摂取量と死亡率との関連性についての調査は、アメリカやヨーロッパで多数行われている――。
今年7月11日、米国内科学会が発行している医学学術雑誌の電子版に「コーヒーを飲む量が多い人は、コーヒーをまったく飲まない人よりも全死亡率(原因を問わない死亡率)と消化器疾患死亡率が有意に低かった」という、国際がん研究機関の調査結果が掲載された。
この調査で驚くのは、規模の大きさである。デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イギリスの10カ国の一般市民、45万1743人を対象に行われたのだ。追跡年数は平均16.4年で、その間に対象者の4万1693人が死亡している。
調査の結果、コーヒーをまったく飲まない人に比べ、コーヒーをよく飲んでいる人の全死亡率のリスクは有意に低かった。また、コーヒーの摂取量が増えると、消化器疾患による死亡のリスクが低減していた。女性については、コーヒーの摂取で、循環器疾患・脳血管疾患による死亡のリスクが減っていた。
ちなみに、調査対象の10カ国で、コーヒー摂取量が最も多かったのはデンマークで、最も少なかったのがイタリアだったそうだ。イタリアではエスプレッソが好んで飲まれているからかもしれない。