下肢静脈瘤は「血管の老化現象」!静脈をアンチエイジングする「足し算」の食事法とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

下肢静脈瘤を改善し、静脈のアンチエイジングにつながる栄養素とは?

 では具体的に、どのような栄養素を補給することが静脈のアンチエイジングにつながるのか? 先述の『下肢静脈瘤が消えていく食事』から5つを紹介する。

①血管壁を強化して、拡張を防ぐ「ビタミンP」

 下肢静脈瘤のある人の静脈は、血管壁が弱り、伸びやすくなっているケースが多い。血管壁に弾力がないと血液が淀み溜まりやすく、瘤を形成しやすい。そこで血管壁を強化して、血管の拡張を防ぐことが重要になる。

 それにはルチンやヘスペリジンといった「ビタミンP」を摂取することが有効だ。ルチンはポリフェノールの一種で、蕎麦やイチジク、アスパラガス、ナス、ホウレンソウなどに含まれる。ヘスペリジンは聞き慣れない栄養素だが、これもポリフェノールの一種で、ユズやキンカンなど柑橘類の皮、袋、筋などに含まれる。

②静脈瘤を引き起こす「血管新生」を阻害する「アントシアニン」「MMP阻害剤」

 静脈瘤の発症要因の一つとして、近年注目されているものに「血管新生」がある。血管新生とは、既存の血管が詰まったり細くなったりしたところに新たな血管が形成される現象のこと。従来の治療法であるストリッピング手術の術後に、しばしば血管新生が起こり、下肢静脈瘤の再発を招いていた。また手術を受けていなくても、静脈瘤が進展する過程で血管新生が起こっている可能性もある。

 血管新生を防ぐには、「アントシアニン」や「MMP阻害剤」の摂取が有効とされる。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーやイチゴ、カシス、ブドウ、紫タマネギ、紫キャベツなどに含まれる。MMPとは細胞同士を固定する接着剤の役割を果たしている「細胞外マトリックス」を分解する酵素のこと。MMPが過剰に分泌されると、細胞外マトリックスが破壊され組織がもろくなる。

 実は下肢静脈瘤の患者では、このMMPが過剰に分泌されているのでは?という研究論文が発表されている。このMMPの過剰分泌を阻害する物質には、山菜のミヤマイラクサ、タラノキ、ヤグルマソウ、階層ではエゾヤハズ、ミル、ケウルシグサ、イソモク、コノハノリなどに含まれているとされる。馴染みが薄い食材ばかりだが、山菜や海藻類での代用が可能だ。

③血管内皮の酸化や炎症を抑える「ビタミンC、E、A」「ポリフェノール」

 血管の損傷や老化を招く要因の一つに、血管内で発生する「活性酸素」がある。活性酸素により血管内で酸化反応が起こると、血管壁が傷ついたり炎症が起きたりする。

 これらを防ぐには「抗酸化物資」の摂取が重要になる。抗酸化物質には、ビタミンCやEやA、ポリフェノール類などがある。ポリフェノール類にはポリフェノール(赤ワインなど)やイソフラボン(大豆など)、カテキン(緑茶など)、クロロゲン酸(コーヒーなど)、リグナン(ゴマなど)、ケルセチン(タマネギなど)などの種類があり、いずれも高い抗酸化作用がある。

④血液粘度を下げる「EPA・DHA」など

 静脈圧が高いと、逆流防止弁(参照:壊れた静脈を「接着剤」でふさぐ!?「下肢静脈瘤」の治療は「より体に優しい」新時代へ http://healthpress.jp/2017/07/post-3147.html)に負荷がかかり、弁が壊れやすくなる。この静脈圧を高める一つの要因に、血液粘度の高さがある。要は血液がドロドロの状態だ。血液がドロドロになると血流が悪くなり途中で滞るので、血管に大きな負荷がかかる。

 血液をサラサラに保つためには、以下のような栄養素を積極的に摂取したい。EPA・DHA(イワシ、マグロ、サバなど)、硫化アリル(ニンニクやネギ、ニラなど)、カプサイシン(トウガラシやシシトウなど)、ペクチン(食物繊維の一種。リンゴや柑橘類の皮に含まれる)、ロズマリン酸(ローズマリー、シソ、レモンバームなど)、ブロメライン(パイナップル、バナナ、ニンニク、生姜など)。また静脈圧を高めないためには便秘をしないことも大切で、「食物繊維」を積極的に摂取したい。

⑤足の痛みや重苦しさを解消する「ハーブ」

 欧米で使われているハーブの中には、足の痛みや重さ、むくみの解消に効果のあるものがある。ホースチェスナット(西洋トチノキ)、ホーソン(西洋サンザシ)、ブッチャーズブルームなどで、ハーブティーなどで取り入れるといいかもしれない。

 初めて耳にする栄養素や食材も多いかもしれないが、静脈を若々しく保ち、下肢静脈瘤を予防・改善するために、普段の食事に「足し算」の発想で上記の栄養素を補充したい。
(取材/文=渡邉由希・医療ライター)

下肢静脈瘤は「血管の老化現象」!静脈をアンチエイジングする「足し算」の食事法とは?の画像3

阿保義久(あぼ・よしひさ)
北青山Dクリニック院長、血管外科・腫瘍外科医。
1993年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院第一外科、虎ノ門病院麻酔科、三楽病院外科、東京大学医学部腫瘍外科・血管外科を経て、2000年に北青山Dクリニックを設立。2004年、医療法人社団DAP設立。2010年、東京大学医学部腫瘍外科・血管外科非常勤講師。
国内で初めて下肢静脈瘤の日帰り根治手術を発案したパイオニアとして、総治療実績は3万例を超える。現在は、「日帰り手術」「予防医療」「アンチエイジング」を三本柱に、下肢静脈瘤を中心とした日帰り手術を行うほか、病気の発生を未然に防ぐための人間ドックや抗加齢医療などを積極的に提供。2009年からは、がんの遺伝子治療にも精力的に取り組んでいる。

アトピーの元凶は「スキンケアの常識」!「肌に優しい洗顔料」など存在しない
インタビュー「カウンセリングでアトピーを治す!」第2回:須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)

アトピー性皮膚炎は非常に厄介な病気である――。この不可解なアトピー性皮膚炎の原因として、患者やその家族の心の問題にいち早く着目し、治療に取り入れているのが須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)だ。第1回「アトピー性皮膚炎に心理療法を! 患者の話を聞くだけで完治したケースも」

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

2017年4月より、はるひ呼吸器病院(愛知県)病…

堤寛

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆