シリーズ「窃盗症(クレプトマニア)という病」第5回

万引きがやめられない! 「窃盗症(クレプトマニア)」の家族にできること

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クレプトマニアの患者のための専門外来が設けられている大森榎本クリニックでは、「孤立しがちな患者の家族」のための「家族会」も開催されている(depositphotos.com)

 全刑法犯の1割を占めるといわれている「万引き」。特に問題となっているのが、盗みに対する衝動を制御できない病気である「クレプトマニア(窃盗症)」に該当する人による再犯率の高さだ。

 高齢者の万引きが増加傾向にあることは、東京都による『高齢者による万引きに関する報告書』でも指摘されている。

 これまで本サイトでは、窃盗症(クレプトマニア)に関する現状を伝えしてきた。

「窃盗症(クレプトマニア)の多くが高齢女性! やめられない『快感』の原因は『孤独』」
「窃盗症(クレプトマニア)は『生活苦』と無関係! ふとしたことで<万引き依存>に」
「万引き、窃盗症(クレプトマニア)の治療~すべての依存症に共通の『再発』2大リスク」

 だが、切実なのは患者本人だけではない。「その問題に巻き込まれる家族」も<当事者>である。東京で唯一、クレプトマニアの患者のための専門外来を設ける「大森榎本クリニック(東京都・大田区)」では、孤立しがちな患者の家族のために「家族支援グループ(通称KFG:Kleptomania Family Group-meeting)」も開催されている。

 はたして家族支援グループは、このテーマにどう向き合っているのか――同クリニックの精神保健福祉部長で精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏に、家族支援グループで行なう心理教育や家族の本人への対応方法について話を訊いた。

同じ境遇の人とつながる大きな意義

 「家族支援グループは月に2回(第二・第四月曜日、16:30~18:00)行なわれ、患者の配偶者、親、兄弟などが参加します。患者の子どもや友人というケースも、わずかですがありますね。ほとんどの方が家族支援グループを通じて、初めて同じ境遇の他人と出会います」

 突然、警察からの知らせを受け、家族が万引きを繰り返していたことを知る――。患者の親族の多くは混乱に襲われ、裁判が一段落してからも「また万引きをするのではないか」といった不安はなかなか拭えない。

 無論、そんな悩みを周囲に相談できる人はなかなかいない。そこで、同じ境遇の<仲間>と体験を分かち合うことは大きな意義を持つのだ。

 「電話がかかってくれば『警察からではないか』と怯えたり、家のなかでこれまで見たことがない品物があったら『また、万引きしたのではないか』と疑ったり……。クレプトマニアの患者の家族は心が安らぐ暇がありません。家族支援グループはそうした悩みや気持ちを共有できる唯一の場所として機能しています」

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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