ついに日本でもカジノが現実のものに──。
カジノを合法化する統合型リゾート(IR)推進法案が、12月2日午後、衆院内閣委員会で採決され、自民、日本維新の会などの賛成多数で可決された。
内閣委の審議は2日間で6時間強。多くの論点が積み残されており、党内や推進派からも「拙速すぎる」と批判が出るほどの早さだ。
この法案は超党派の議員連盟に属する8人が提出したもので、成立後1年をめどに政府がカジノの法制化を行なうという内容だ。民進党などが反対する中、与野党の合意なく審議入りしたが、自民・維新の数の論理に押し切られた格好だ。
日本にカジノを作ることについて、シンガポールでカジノを視察した安部首相は「日本の成長戦略の目玉」と語り、菅義偉官房長官も「観光振興、地方創世、産業振興の面で大きな期待が持たれている」との立場を示している。
抜け落ちている「ギャンブル依存症」への配慮
だが、政府首脳をはじめとするカジノ推進派の論点からは、カジノの実現によってさらに増えるであろう「ギャンブル依存症」についての配慮は、まったく抜け落ちているかのようだ。
日本は、現在でさえギャンブル依存症患者の多い国として知られている。どの街の目抜き通りにもパチンコ屋が店舗を構え、パチンコによって生活を破綻させてしまう人が後を立たない。
2014年には厚生労働省研究班が、「依存症が疑われる成人は人口全体の5%弱の536万人」との推計を示しているほどだ。
ギャンブル依存の恐ろしさが、ひしひしと伝わってくる一冊がある。大王製紙の前会長・、井川意高の『溶ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』だ。